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現代は、企業も個人も激しい変化にさらされています。このような時代を乗り越えるためには、与えられるのを待つ受動的な学びではなく、一人ひとりが「自ら学び、進化する自律性」を持つことが不可欠です。
このシリーズでは、職場を単なる業務遂行の場ではなく、「個人に成長の機会を与え、組織の成長を生み出す場(ワークプレイス)」として捉え直すことを提唱してきました。
本稿では、全10回の連載で探求してきた、個人の成長と企業の成長を相互に高め合う「ワークプレイスラーニング(WPL)」の本質を振り返ります。
目次
なぜ「成長実感」が鍵なのか?- 個と組織が共に育つ環境づくり 経験を「学び」に変える技術 - 「内省」から質の高い教訓を得る 教訓を「行動」に変える力 - 持続的な成長への飛躍 次の旅へ - 「学び続ける環境」をどう創るかシリーズ前半では、個人と組織が切磋琢磨し、「成長」を実感できる場の重要性を訴えました。
特に、従業員が仕事への「関与と熱狂」、すなわちエンゲージメントを高めるための鍵が「成長実感」であると指摘してきました。
WPLデザインでは、「学びの場」を職場に築き、成長を実感できる人材を育むために、以下の4つの視点から職場環境を見直すことを提案しました。
これらの実現には、経営者、教育担当者(人事)、上司・ラインマネージャーの「三位一体のマネジメント」による連携が不可欠です。この連携によって初めて、職場はエネルギーに満ちた「学びの場」へと変貌するのです。
第1回 従業員が自ら学び、成長する職場を作る
第2回 人と組織による学びの時代
第3回 成長実感は未来につながるか
第4回 あなたの職場は「学びの場」になっているか?
第5回 未来に向けてどんな人財を目指すか
「学びの90%は職場の経験から得られる」と言われるように、WPLの中心には「経験学習」があります。
コルブの経験学習モデルが示す通り、人は経験を「内省」し、そこから「教訓」を引き出し、新たな状況に適用する(積極的行動)というサイクルで学習し、経験を重ね成長していきます。
特に「内省」は経験学習の第一歩であり、自身の感情と丁寧に向き合うことで、客観的な事実の奥にある真実に近づき、新たな視点や価値観に気づくことができると強調されます。
成功体験だけでなく、つらい失敗体験からも目を背けず、未来へつなげる「前向きな行為」として内省を行うことが重要です。
この内省を深める鍵となるのが、「批判的内省」です。これは、自分の中の「当たり前」を問い直し、他者からのフィードバックを謙虚に受け止めることで、自身の認知の歪みを見つめ直し、より適切な教訓を得るためのプロセスです。
さらに、「もっと良くなりたい」「もっと成長したい」という強い意志である「学習志向」が高ければ、人は自然と批判的内省に向かいやすくなり、質の高い教訓を導き出せるといいます。
学習志向を高めるために、漠然とした思いを「明確な目標設定」に落とし込み、「届きそうな目標」を一つずつ立てて成長実感を積み重ねることが肝要です。
経験を具体的な行動に焦点を当てコンピテンシーを基盤に振り返ることで、自分の強みや強化すべき能力を明確にし、成長を実感し、次の実践へ繋げることができるようになります。
第6回 経験学習がもたらす成長実感~人は職場で学習し成長する~
第7回 “なんとなく”の振り返りを卒業しよう~内省で変わる学びと行動~
第8回 振り返っているのに、なんだか成長実感がない?
内省から得た「教訓」を実際の行動に移せない「応用の壁」に直面することがあります。この壁を乗り越える燃料となるのが、「経験学習マインドセット」です。
第10回では、私自身の経験として、ルーティン業務の中から「仕事の意味」を見出し、業務プロセスの観察から得た教訓を基に、改良案のイメージ図を作成するという「自主的挑戦」に繋がった例を挙げました。「徹底した業務プロセスの観察が新たな発見を生む」という教訓を得て、自ら作業改良のイメージ図を作成するという「自主的挑戦」としての「積極的行動」を紹介しました。
このように日々の小さな行動の積み重ねが、やがて大きな「成長実感」となり、個人と組織の持続的な成長を実現します。
第9回 学び続ける力」の育て方~成長実感と環境がつくる学習志向~
第10回 教訓を行動につなげていくための「応用」の壁にぶつかっていませんか?
本シリーズを通じて、経験学習が個人の成長を促し、組織の成長へと繋がるプロセスと、その鍵となる「経験学習マインドセット」の重要性を明らかにしてきました。
次なるシリーズでは、これらの学びをさらに深め、実際に職場で「学び続ける環境」をいかに継続的に創り上げていくかに焦点を当てます。個人の挑戦を組織全体で支える具体的な「場づくり」のノウハウについて、さらなる考察を深めてまいりますので、ご期待ください。
ワークプレイスラーニング コラムニスト
山道弘信
素材メーカーにて日本・欧米・アジアの拠点で製造、開発、経営マネジメントを経験。全社横断プロジェクトや新組織の立ち上げにも携わり、多様な文化や価値観の中で人と組織の成長に向き合ってきた。
職場は単なる作業の場ではなく、学びと成長が渦巻く場であるという信念を持つ。
人が成長実感を得た瞬間に放つ輝きと、それが組織に与える力に魅了され、どんな職場でも学習の場になり得るという思いから「ワークプレイスラーニング(WPL)」の連載を開始。経験を通じて得た気づきを言葉にし、働く人々の学びを後押しする。
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