タグで探す
注目キーワード
コラム
個人と組織の成長を実現するために重要なワークプレイスラーニング。その実現には、「経験学習」が大切な要素となります。では、経験学習が職場で効果的に行われるためにはどうすれば良いのでしょうか?
本コラムでは、経験学習を個人の成長に変えていけるように、コンピテンシーを基にした振り返り方法を交えて概説します。
これまで5回にわたり、個人と組織の成長を実現するために重要なワークプレイスラーニングの概要に触れてきた。
今後は、実際にみなさんの職場でワークプレイスラーニングを実現させるための具体的な要素について紹介していきたいと思う。
まずは、ワークプレイスラーニングの中心となる経験学習サイクルを取り上げよう。
学びの90%は職場の経験から得られると言われる※1 。
肌感覚的にも多くの人は納得するであろう。職場では、見て、聞いて認知する情報量が圧倒的に多く、そして何と言っても、行動によって、新しい経験が手に入るからだ。
ただし、その経験から何を学ぶか、“振り返る(考える)”ことによって、はじめて自分の成長に活かされる。
この学び方を経験学習という。
コルブ(1984) は、「経験を内省し、教訓を引き出し、新しい状況に適用するというサイクルを回す事で人は成長する」と言っている※2。
私は朝にジョギングをするが、清々しい空気の中で走っていると、これまで悩んでいたことが、こうすればいいんじゃないかとか、こんなことをしてみようとか、ふと新たな気づきが湧いてきて、次の行動の糧になることがある。
これも小さな成長と呼べないだろうか。
職場においても、こんな習慣や環境があれば良いと思う。個々人が成長を実感できる職場だ。
図 経験学習モデル

※1.直接経験及び他者の観察やアドバイスなどを職場の経験含む;Lombardo& Eichinger.(2010)The Career Architect: Development Planner,5th edition Lominger International.
※2. A.Kolb,1984 Experiential Learning (2015) Experience as the Source of Learning and Development. 2nd Edition Upper Saddle River, NJ: Pearson Education
では、職場に経験学習を取り入れて習慣化するには、どのような方法があるだろうか。
有効な方法の一つに「コンピテンシー」の活用が挙げられるだろう。
あなたの会社の従業員 は、自分にどんな力が備わっていて、今後どんな能力を高めれば良いのか、認識できているだろうか。
問題発見力・解決能力、情報処理能力、変革型リーダーシップ能力、創造力、直観力、洞察力、組織間関係管理能力など、職場で従業員に求められる能力の数々。
もちろん、能力そのものが何たるか、必要な知識、思考フレームや、着眼点など、基本的要件を理解している必要がある。
しかしながら、「わかる」だけでは十分ではなく、他者からも認められない。能力とは、できなければならないのだ。
「できる」とは、職場で成果に結びつく行動を伴ったものであるということではないだろうか。
例えば、問題発見力が高いからといって、批評ばかりして他責にする評論家では職場での成果につながらない。また、能力の発揮度合いは周囲との関係性において異なる。
どんな場面で、どんな能力をどのように使えば成果に結びつくかを考え、行動として発揮することが必要だ 。
この「成果に結びつく行動」をコンピテンシーという。
日々の業務を例にコンピテンシーを考えてみよう。
まず、業務の目的に応じた成果をイメージし、課題を見つけて整理する必要がある(問題発見力、情報収集力など) 。それには問題発見力や情報を収集、処理する能力などが必要であろう。
次に、どうやったらその課題を克服できるか、様々な視点で捉えなおし、方策を考える事が必要になるであろう(洞察力、創造力など)。
そして、方策を実行していくには、同僚や部下などチームの協力を仰ぎ、必要なら上司や組織など関係者を巻き込む必要があるだろう(リーダーシップなど)。
これらが、スピーディーに、粘り強く、独自性や独創性を持って、正確に、チャレンジして、厳密で誠実にできているのか。
具体的な行動に焦点をあてて振り返ることにより、自分は何を強みとして持っているのか、今後どんな能力を強化していくと良いか気づきを得て、次の実践へ結びつけていく。
経験をコンピテンシーに分解して能力を振り返り、成長を実感する。
まさに経験学習は、ワークプレイスラーニングのエンジンであり、個人の成長を組織の成長につなげる重要な役割を果たすのだ。
こんな経験学習が日々行われる職場をつくりたいと思う。
次回からは、経験学習の各ステップを1つずつ紐解いていく 。
ワークプレイスラーニング コラムニスト
山道弘信
素材メーカーにて日本・欧米・アジアの拠点で製造、開発、経営マネジメントを経験。全社横断プロジェクトや新組織の立ち上げにも携わり、多様な文化や価値観の中で人と組織の成長に向き合ってきた。
職場は単なる作業の場ではなく、学びと成長が渦巻く場であるという信念を持つ。
人が成長実感を得た瞬間に放つ輝きと、それが組織に与える力に魅了され、どんな職場でも学習の場になり得るという思いから「ワークプレイスラーニング(WPL)」の連載を開始。経験を通じて得た気づきを言葉にし、働く人々の学びを後押しする。
関連記事
コラム
2025/11/26
[テーマ]自律的学習者の育成行動変容の実現
人的資本経営を加速させる
コラム
コラム
コラム
詳細検索
注目キーワード
人的資本経営を加速させる
製造業職場学習(WPL)実態調査が示す
「質の向上」と「意識的な実践」の重要性
—製造業における「学びのエンジン」を再起動させるために—
「成果につながる研修の作り方」をYouTubeで無料公開
【インストラクショナルデザイン入門】
“現場”の人材育成を再考する
~LPDカンファレンス2025開催レポート~
ワークプレイスラーニングとは?
職場での学びを最大化するヒントを紹介
インストラクショナルデザインとは?
求められる背景や代表的理論を解説!
おすすめの記事