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従業員と組織がともに成長するために、職場での学びである「ワークプレイスラーニング」を効果的に推進していく重要性が高まっています。
本記事では、ワークプレイスラーニングの重要要素である「経験学習モデル」について改めてご紹介します。経験学習モデルを意識的に活用することで、学習効果を最大化し、成長をはかりましょう。
人財育成に携わる皆さんは、経験学習モデルについてご存知の方も多いと思います。
経験学習モデルは、ワークプレイスラーニングの重要な要素で、まさに職場学習の「エンジン」と言えるものです。
具体的に見ていきましょう。
経験学習モデルは、David A. Kolbによって1984年に提唱され、今日のビジネス環境においても非常に重要な役割を果たしています。
このモデルの核心は、以下の4つのプロセスで構成されています。
図1 経験学習モデル
図1の通り、企業における従業員の学習は、大きく4つに分類できます。
実際の職務経験や特定の出来事を指します。成功や失敗の経験を通じて、学習者は情報や感情を受け取り、それらを自分の文脈で理解しようとします。これは学習プロセスの出発点です。
学習者が自分の経験を振り返り、考察し、分析します。客観的な観察を通じて、現状を深く理解することが重要です。ここでは、過去の経験を振り返り、他人の批判やアドバイスからも学び、他人の成功から教訓を引き出すことが含まれます。このプロセスは、経験からの学びを深めるために行います。
内省的観察の結果を基に、新しいアイデアや理論を形成します。具体的な経験を抽象的な概念に変換し、一般的な原則や理論を導き出すことで、経験を体系化し、それを「マイセオリー」として紡ぎます。このプロセスは、経験を単なる出来事ではなく、将来のシーンで活用できる教訓に変えるために行います。
考えたことを実際に試してみる段階です。ただ考えるだけではなく、新しいアイデアや理論を実践に移し、実際に行動することで学んだことを試します。積極的行動は、新しいスキルや知識を獲得し、次の具体的経験に向けて準備するプロセスを意味します。
これらのプロセスは、日常生活で無意識に行われることもありますが、意識的に活用することで、学習と成長の効果を最大化できます。
経験学習とは、学習者が自分自身の経験を通じて、他者や環境と相互作用しながら知識を構築するという考え方です。職場での学習を促進する際、重要なのは「具体的経験」と「抽象的概念化」を効果的に結びつけることです。
従業員がこれらのプロセスを体験できるように奨励し、上司や先輩が支援する環境を構築することが、成功への鍵となります。このアプローチを採用することで、従業員は自らの経験を最大限に活用し、組織全体の学習能力と革新性を高めることができます。
しかしながら、現場に目を向けると、次のような状態に留まっていることも多いようです。
- OJTが「つきっきり指導」や「見て学べ」で止まっている
- 振り返りや内省の時間がほとんど設けられていない
- 何となくの振り返りや、情報の整理に留まっている
- 指導する側のスタイルや力量に依存してしまっている
- 経験の機会は与えられても、意味づけや次の行動への橋渡しが不十分
このような状態では、せっかくの経験も表面的なものに留まり、成長の速度に差が出やすくなります。
では、従業員が経験学習のプロセスを回すために、上司や先輩は具体的にどのような支援を行うと良いのでしょうか。具体的には、以下のような取り組みが考えられます。
VUCAの時代では、自ら考え、問題を解決し、前進する能力が特に重要です。経験学習モデルを効果的に回せるようになると、このような環境下での自律的な学習を促進させ、組織の成果を最大化できる強力なツールとなります。
本記事では、ワークプレイスラーニングの重要な要素である経験学習モデルを構成する4つのプロセスをご紹介し、意識的に活用するためのヒントをご紹介しました。
あなたの組織では、経験学習モデルを活用し、自律的な学習を促進できているでしょうか。
従業員の方が個人で取り組むだけではなく、上司や先輩が支援しやすい環境を構築できているか、という視点でも振り返ってみてください。
すぐに大掛かりな仕組みを導入する必要はありません。
例えば、日報のフォーマットを振り返り中心に変えてみる、1on1で“問い”を使ってみるなど、小さなアクションからでも十分です。
重要なのは、「人が成長する仕組みは“現場にある”」という視点を持ち、経験を学びに変えるプロセスを丁寧に育てていくことです。
【参考情報】
本記事の内容は弊社刊行書籍やホームページをご覧いただくことで、より深く学んでいただけます。
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