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従業員と組織がともに成長するために、職場での学びである「ワークプレイスラーニング※1」を効果的に推進していく重要性が高まっています。
本記事では、その実現に向けて職場学習を推進するための要素を整理・可視化するフレームワーク「WPLキャンバス※2」の活用方法をご紹介します。全6回の連載初回となる今回は、起点となる「WPLパーパス」「人財ビジョン」策定について考えていきましょう。
※1 本記事では、「ワークプレイスラーニング」を基本表記としつつ、「WPLキャンバス」や「WPLグランドデザイン」など一部の用語では略称「WPL」も使用しています。
※2 「WPLキャンバス」はサンライトヒューマンTDMC(株)の登録商標です。本記事ではⓇマークを省略しています。
職場での学び=ワークプレイスラーニング(WPL)をより良い形で実現するためには、WPLグランドデザイン——つまり、人と組織が未来に向かって成長していくための、育成の“全体設計図”を描く必要があります。
本記事では、実際にWPLグランドデザインを描く際に活用できるフレームワーク「WPLキャンバス」についてご紹介します。WPLキャンバスは、WPLを効果的かつ効率的に推進するために押さえるべき要素を可視化するフレームワークです。
図1 WPLキャンバス
次の順番で各要素の目標や評価指標を検討し、対象となる職場ごとに最適な形でオリジナルのWPLキャンバスを完成させます。
ワークプレイスラーニング環境を整備する(あるいは見直す)準備段階では、WPLキャンバスを活用し、自社においてなぜWPLが必要かを検討します。それぞれの項目について「現状」と「課題」を整理することにより、状況を俯瞰的に見ることができます。
いざ職場学習を体系的に進める段階では、“なぜWPLなの?”という根本の部分「Why(理由や問題意識)」がなかなか定まらない場合があります。そんな時は、WPLキャンバスのどの要素からでも構わないので、関係者と議論することから始めるとよいでしょう。始めは論点が明確になっていなくても、議論を続けることで認識が揃っていきます。
そして、WPLキャンバスを参考にしながら、ゴールや指標を設定することとなります。
以降、本記事を含めて数回にわたって、WPLキャンバスの埋め方や指標の具体化について、ご紹介します。
最初に明確にすることは、「WPLパーパス」と「人財ビジョン」です。
この2つの要素は、WPLグランドデザインを考える上での軸となり、未来人財を育成する理由や方向性を導くものです。
これらを策定することにより、どういった人財要件(コンピテンシーやスキルセット)が必要か、本人が持つべきマインドセット、ラインマネジャーによる学習支援、エグゼクティブが支援してつくる職場学習環境の状態がどのようなものかを知ることができます。
では、各職場で目指す「WPLパーパス」「人財ビジョン」をどう言語化していくか説明します。
WPLパーパスとは、職場学習を促進する目的のことです。
従業員は、職場で、意識をしなくとも何らかの形で学びます。しかし、職場学習が意図をもって、組織として最適な形で体系的に行われるためには、その出発点として目的を明確にすることが欠かせません。なぜ職場学習を体系的に行うのかという確固たる理由を明文化し、方向性を明確にするためです。理想的には、上層部のマネジメントが示すことが望ましいのではないでしょうか。
WPLマネジメントにおいては、長期的な視点に立ち、どのような人財が自社に必要かを考えることが重要となります。WPLパーパスとの整合性をとり、どのような人財であれば、未来で活躍できるかを考えます。
一方、職場における学習は、短期的な業績にも影響を及ぼさなければ、職場の皆さんにとってはメリットが薄く感じられるでしょう。そのため、短期的な業績の向上の視点でも人財像を明確にすることが大切です。
長期的な視点と短期的な視点のそれぞれのバランスを考えながら、丁寧に進めていくことが望ましいのです。
特定の職場のエグゼクティブが決定する方法もありますし、シニアエグゼクティブが束ねる配下のエグゼクティブが一堂に会して話し合って決めてもよいでしょう。
策定は以下の4つの手順に沿って進めます。
図2 ファシリテーターの4つのスキルの複合力
WPLキャンバスの記入例は以下です。
図3 WPLキャンバス(例)
本記事では、WPLキャンバスのご紹介とWPLパーパス・人財ビジョンの策定の手順を説明しました。この2つの要素は、WPLグランドデザインを考える上での軸となりますので、シニアエグゼクティブと複数名のエグゼクティブが集まって決めていくことが望ましいです。
次回は、「未来人財要件」についてご紹介します。
【参考情報】
本記事の内容は弊社刊行書籍やホームページをご覧いただくことで、より深く学んでいただけます。
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