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失敗を振り返り、教訓も得ているはずなのに、なぜか成果につながらない…。そんな壁を感じたら、教訓の“質”に目を向けてみましょう。他者の視点や内省の工夫で、成長の実感はぐっと近づきます。
私はゴルフを嗜みますが、ラウンドの後で「あの時はこうすれば良かったのに」と失敗を嘆き、忘れたくてお酒を飲んで眠ってしまうことがよくあります。
ですが、本当にうまくなりたいのであれば、そうした失敗から目を背けず、良かった場面も含めて、自分の判断や気構え、ショットの結果までを思い出しながら振り返る「内省」が必要なのだと思います。
このようにして振り返ることで、次に何をすればよいかが見えてきます。
これこそが、経験学習で言うところの「内省」から「教訓」を得るステップです。
そしてその経験学習を重ねることで、得られた教訓が洗練され、やがて「マイセオリー」となり、自分自身の成長につながっていくのでしょう。
プロゴルファーがラウンド後にゴルフノートに何やら記録しているのを見たり聞いたりしますが、きっとそのノートこそがマイセオリーを紡ぎ出し、未来の行動の羅針盤になっているのだと思います。
しかし、自分でもいくつかの「教訓」を得ているはずなのに、思ったほど成長できていない自分に気づくことがあります。
その原因は、「教訓」を活かす努力や実践の場が足りないという面もあるかもしれません。
けれども、それ以上に考えるべきは、そもそも自分が得た「教訓」が、目標に向かって行動するための正しい指針になっているかどうかという点です。
つまり、教訓の「質」そのものを疑ってみる必要があるのです。
最近、さまざまな人とラウンドする機会が増えました。
その中で、自分では当然できていると思っていたスイングや行動が、他人から指摘されて初めて「できていなかった」と気づくことがあります。
「やけに気合い入っていたね」
「急いで打っていたね」
などと言われると、はっとするのです。
そして、その気づきをもとに導き出される教訓は、技術的な改善ではなく、「打つ前に一呼吸おいてリラックスする」などの“心構え”に変わることもあります。
このように、他人には見えていても、自分だけが気づいていないということは、皆さんにも経験があるのではないでしょうか。
人間の認識には、誰しも何らかのバイアス(認知の歪み)があると言われています。
一度、自分を真っさらにして、他者からのフィードバックを謙虚に受け止め、自分を見つめ直す――これを「批判的内省」といいますが、本当に適切な教訓を得ていくためには、このプロセスが欠かせないのだと思います。
では、皆さんは他人のフィードバックを謙虚に受け入れられる自分でいられるでしょうか。
自分にとって「当たり前」と思っていることに問いを投げかけられるのは、思った以上に難しいものです。
けれども、「もっと良くなりたい」「もっと成長したい」という強い意志、つまり“学習志向”があれば、人は自然と批判的内省に向かいやすくなると、経験学習の権威である松尾睦先生もおっしゃっています。
他人のフィードバックは、私たちの認知の歪み――自分の価値観や思考のクセ、判断基準――を見つめ直すきっかけを与えてくれるのです。
【次回のテーマ】
学習志向をどう高めるか
私のゴルフにおいて、より適切な教訓を得ていくために、「本当にうまくなりたい」という学習志向が十分にあったのか?――改めてそう自問しました。
学習志向は、明確な目標を立てることで強化され、また、周囲の学習環境にも大きく影響されると言われています。
次回は、学習志向を高めるためにはどのような目標を立て、どんな学習の場で挑戦していけば良いのかを考えていきたいと思います。
ワークプレイスラーニングコラムニスト
山道 弘信
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