イベントレポート

“現場”の人材育成を再考する
~LPDカンファレンス2025開催レポート~

サンライトヒューマンTDMCは、この度新たな人材育成イベントとして「LPDカンファレンス2025」を2025年6月に開催いたしました。本カンファレンスは研修と職場学習の両軸から、人と組織の成長を見つめ直すことをコンセプトとしています。

本記事では、当日のメッセージや講演・事例・対話を通して得られた多様な学びのエッセンスをカンファレンスレポートとしてお届けします。

LPDカンファレンス開催にかけた想い

2025年6月6日(金)、神田明神ホールにて「LPDカンファレンス2025」が開催されました。
当日の会の幕開けでは、弊社代表・森田晃子より現場の人財育成を考える本カンファレンスに、多くの方が関心を寄せてくださったことへの感謝を述べました。

 

以下、オープニングメッセージで森田が語ったポイントをご紹介します。

■“現場”に必要な学びとは?

本年のテーマは、「“サイコウ”現場が生きる学びのデザインとは?」
この“サイコウ”という言葉には、「最高」と「再考」という2つの意味が込められています。

では、“現場”とは一体何か?

サンライトヒューマンTDMCは、現場とは価値創造の最前線であり、同時に日々課題や気付きが生まれる場所でもあると考えています。
従って、人財育成においては、「現場で生まれる暗黙知を、いかに形式知へと変えていくか」が大きな課題となります。
近年進化がめざましい生成AIとの共存も考慮すると、これからの人財育成には、スキルだけでなく態度やコンピテンシーなど「人間らしさ」に関わる学びがますます不可欠となるため、意図的な学びを仕掛ける重要性が高まっています。

 

■人材育成にLPDというアプローチ
  ~ラーニングプロセスデザイン~

カンファレンス名のLPDとはLearning Process Designの略称でもあり、企業のビジネスゴール達成に向けて、「持続的に成長する人と組織」を創り上げるための仕組みづくりを、「研修」と「職場学習」の2つの視点からデザインしていくことです。

 

  Learning Process Designにおける2つの視点 

研修|ビジネスインストラクショナルデザイン(BID)
職場学習|ワークプレイスラーニングデザイン(WPL Design)

現場では、短期的な成果が求められたり多忙であることなどを理由に、学ぶことの優先度が下がりがちになることがあります。
だからこそ、現場を支える立場の方々が、「研修」と「職場学習」の2つの視点を持って、学びをどのように設計し支援していくかが重要となります。

本日のカンファレンスでは、専門家の知見や企業のリアルな実践事例、ご参加の皆さま同士のワーク等を通して、LPDに必要な2つの視点―BIDとWPL―によるデザインの重要性を体感していただければと思います。

 

そして、第1回目のLPDカンファレンス開催にあたり、LPDの世界観を象徴するキービジュアルを制作しました。

このキービジュアルでは、本社機能と多様な“現場”が連携し、それぞれの個性を生かした職場学習が起こり、広がっていく様子を表しています。このような状態が、本日ご参加の皆様による「デザイン」によって実現していくことを願っています。

2

2025年のカンファレンスプログラム、セッションサマリーレポート

■2025年のプログラム

2025年のプログラムは次の通り(イベント紹介ページもご参照ください)。

 

以下、各セッションのサマリーをご紹介します。

※各セッションの詳細レポートは、別途記事としてそれぞれ公開予定です。

 

■セッション1|BID~現場での実践に活きる研修での学びをデザインする~

インストラクショナルデザインの第一人者・鈴木克明氏の講演では、企業に根強く残る「人材育成神話」から脱却し、経営と現場をつなぐ戦略的な育成設計の必要性が語られました。

続く事例発表では、ほけんの窓口グループの清田氏が、BIDを活用して現場の課題を分析・設計し、経営に資する人財育成を実践している取り組みを紹介。

トークセッションでは、現場に寄り添いながら、育成部門が経営と現場の橋渡しを担う重要性が共有され、ご参加の方々の共感を集めました。

 

■セッション2|WPL~ワークプレイスラーニングをデザインする~

経験学習の第一人者・松尾睦氏の講演では、職場における経験学習の支援こそが育成のカギであり、マネジャーの関りによって学びの質が大きく左右されることが示されました。

ANA様の事例では、パイロット育成における振り返り支援において、上司が内省を促し、学びを引き出すプロセスがリアルに紹介されました。

トークセッションでは、こうした経験学習支援の在り方が世代や職種を超えて応用可能であることが語られ、ご参加の方々へ多くの新たなヒントを提供しました。

3

人材育成の未来に向けたクロージングメッセージ

カンファレンスの締めくくりには、主催であるサンライトヒューマンTDMCの代表・森田晃子より、ご来場いただいた皆様への感謝と今後の展望が語られました。

以下、メッセージのポイントをご紹介します。

■学びの起点は「現場」から

「4時間半という長丁場となりましたが、皆さまにとって何かしらのヒントをお持ち帰りいただけたなら嬉しい」と語った森田は、BID(ビジネスインストラクショナルデザイン)とWPL(ワークプレイスラーニング)という二つのテーマを振り返りながら、学びのデザインの本質に触れました。

研修から発想するのではなく、“現場”での学習がどう機能するかを起点に考えるべき」と、順序の逆転が不可欠であると確信していると述べました。

 

■人材育成のより良い未来へ~一般社団法人を設立

今後の活動として、2025年4月に設立された「一般社団法人ラーニングプロセスデザイン協会」の存在にも言及。
アカデミアと実務の両面から学びの構造に迫る研究と発信を強化していく考えを示し、現在開発中のWPL関連サービスのリリースも予告しました。

「現場から逆算する学びのデザイン」を軸に、新たな知見と対話を育んでいく──そんな想いが込められた、温かくも力強いメッセージで幕を閉じました。

4

あとがき

第1回目の「LPDカンファレンス2025」は、おかげさまで盛況の内に終了いたしました。

ご参加の皆様から伝わってきた熱意と真剣な眼差しから、「研修」と「職場学習」の2軸によるLearning Process Designの広がりと、これからの人財育成がより良いものへと進化していく兆しを感じ取ることができました。

【参加者アンケートより一部引用】

  • 大変中身の濃い時間。概論と実践例を一度に学べるのは効果的。
  • 実践的な内容が多く大変参考になった。研修以外の方法も十分検討したうえでトータルデザインを描きたい。
  • 人材開発バリューチェーンは上司に示して人財育成における組織の関わりの必要性を訴えようと思います。
  • WPLをデザインするにあたり、上司(指導者)の学習支援力のありかたについてヒントを得ました。
  • 初めて参加しましたが非常に有意義でした。次回も楽しみです。

本カンファレンスレポートが、現場での学びをどのようにデザインし、実践していくかを考える一助となれば幸いです。

そして、今後も弊社は、“現場”で活躍する人財に寄り添い・支えていく皆さまと共に、人財育成のあり方を探究し続けてまいります。
次回のLPDカンファレンスで、再び皆さまとお会いできることを心より楽しみにしております!

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