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従業員と組織がともに成長するために、職場での学びである「ワークプレイスラーニング」を効果的に推進していくことの重要性が高まってきています。
本記事では、ワークプレイスラーニングの定義に加えて、ワークプレイスラーニングの3つの段階を具体的にご紹介。ワークプレイスラーニングの理解を深め、職場での学びを最大化するためのヒントを得ていただけます。
「ワークプレイスラーニングとは?」と聞かれた時に、どのように答えますか?
「OJT」や「1on1」など、職場で行われている具体的な育成の取り組みを思い浮かべる方も多いかもしれません。
Rothwell & Sredl(2000)は、ワークプレイスラーニングを「個人や組織のパフォーマンスを改善する目的で実施される学習とその他の介入の総合的な方法」と定義しています。
もう少し詳しく見ていきましょう。
企業に所属する従業員には、組織の成果(ビジネスゴール)達成に貢献するために、それぞれの業務において「期待される業務上のパフォーマンス(パフォーマンスゴール)」があります。
「パフォーマンスゴール」と「パフォーマンスの現状」との間にはGAPがあるため、そのGAPを埋めるための課題解決の手段として「学習」は不可欠なものとなります。
そして、「パフォーマンス」と「学習」の関係性は、図1のように表すことができます。
図1 パフォーマンスとワークプレイスラーニングの関係性
図1の通り、企業における従業員の学習は、大きく4つに分類できます。
❶経験学習(自分の経験を実践に活かしていく学び)
❷上司・先輩・同僚からの学び(OJT、1on1、対話など)
❸情報での学び(Webや書籍など)
❹研修での学び(Off-JT、eラーニングや集合研修など)
このうち、❶❷❸は「職場での学び」に該当するため、これらをワークプレイスラーニング(WPL)と呼びます。
図1に示すように、「学びの全体像」を100%とするならば「職場での学び(WPL)」が90%以上を占め、「❹研修での学び」は10%程度に過ぎないと言われています。
そのため、従業員の学びの効果を最大化するためには、職場の学習環境を整えることが重要となります。
ここまでのワークプレイスラーニングの定義は、人財育成に関わったことがある方であれば、どこかで学んだり、実際に育成施策に取り入れたことがあるかもしれません。このセクションでは、少し踏み込んだ大切な視点をお伝えします。
サンライトヒューマンTDMCは、100社4000名を超える人財育成のコンサルティング支援を行ってきた経験に加えて、多くの文献を紐解いて考察した結果、ワークプレイスラーニングには3つの段階があると考えています。
以下、このセクションではワークプレイスラーニングを「WPL」に置き換えて3つの段階を紹介します。
図2 WPL3.0
個々人が職務を実行するために、自然発生的に行われている職場学習のことを指します。
例えば、上司や先輩の背中を見て真似て学ぶといったものが、これに該当します。
この段階では、会社の施策として、OJTの仕組みや公式なサポート体制は整っておらず、属人的なものとなります。
会社としてOJTの仕組みや制度が導入されている職場学習のことを指します。
新人のためにOJT指導員が設置されたり、部下指導を強化するために上司がコーチング研修などを受講したりします。
ただし、継続的なフォロー体制までは整っておらず、多くの場合、運営は曖昧なまま職場に任されるため、結果的に職場ごとのやり方は属人的なものになり、効果的な職場学習が行われているかは問われません。
WPL2.0の課題を解決する職場学習です。
1つの会社であっても、職場ごとに職務、文化、歴史、環境、所属する人員の個性・能力などが異なり、職場ごとの“個性”があります。WPL3.0は、“全社統一の仕組みを職場に落とす”のではなく、職場ごとに職場学習のゴールを設定し、最適化された仕組みや運用方法を取り入れていきます。
このように、職場学習における3者の条件がそろうことで、より高度に職場学習を実現することが可能となります。
以上が、ワークプレイスラーニングの3つの段階です。
あなたの組織のワークプレイスラーニングは、どの段階に当てはまりますか?
将来的に、どのようなワークプレイスラーニングの状態を目指していきたいですか?
本記事ではワークプレイスラーニングの定義を踏まえて、導入・実践において知っておきたいワークプレイスラーニングの3つの段階をご紹介しました。
あなたの組織のワークプレイスラーニングを見つめ直すきっかけになれば幸いです。
改善できそうなポイントを探し出せたならば、ぜひ社内で誰かに共有するところから始めてみてください。
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