コラム用語解説

研修の成果をどう評価する?
カークパトリックの4段階評価とは?

「もっと効果的な研修をしたい」というのは人材開発を担っている皆様にとって共通の想いなのではないでしょうか? その際、重要なキーとなるのが研修の効果を測定するための「評価」の設計です。

カークパトリックの4段階評価

「カークパトリックの4段階評価」とはアメリカの経営学者であるドナルド・カークパトリックが提唱した評価モデルです。研修評価の際の視点として以下の4つのレベルに分けて「評価内容」と「評価手法」を示しています。

 

レベル1 
研修自体が効果的だったかどうかを対象者の「反応」つまり「満足度」で測定します。評価手法は「アンケート」などです。

レベル2
「トレーニングゴール(研修における学習目標)」に到達したかを対象者の「学習」つまり「学習到達度」で測定します。評価手法は、「試験」や「実演」「レポート」などです。

レベル3
「パフォーマンスゴール(現場における行動目標)」に到達したかを対象者の「行動」つまり「行動変容」で測定します。評価手法は、「同行調査」などです。

レベル4
「ビジネスゴール」に到達したかを「結果」つまり「業績向上度合い」で測定します。評価手法は、「売上」「調査」などです。

企業研修の評価の動向

皆様が担当されている研修で行っている評価はどのレベルに当たりますか?

どのレベルの評価も重要ですが、特に意識をしたいのがレベル3です。人材教育は職場では解決できない課題を研修というアプローチでできるように支援することですから、研修の前後で行動がどう変容したか、つまり、職場で求められる行動ができるようになったかを評価する必要があるのです。

弊社が創業した2007年頃は、レベル1の「アンケート」や、研修で学んだ知識を暗記しているかどうかを「テスト」で問うレベル2の評価を行っている企業様が多かったように思います。最近ではレベル3の評価を意識されている企業様が増えてきていますが、従来の教育部門のスコープを超えることも多く、難しさを感じるというお声も少なくありません。お手伝いさせていただく中で、レベル3の評価設定をするとともにレベル2についても、テストの内容を知識の暗記を問うものから、実際に職場で「使える」知識になっているかを問うものに変更したり、スキルやマインドといった面も評価に含めたりといったご提案をさせていただくこともございます。それぞれのレベルで適切な評価を設定することが、簡単ではありませんが、とても大切なポイントです。

 

活用事例もあわせてご覧ください。

◆ノボ ノルディスク ファーマ株式会社様
新人導入研修を改革された事例です。その際、評価についての見直しも行っています。
こちらからお読みください。

履修主義から修得主義への転換で評価が更に重要に

先日、医療用医薬品の営業部員(以下、MR)の教育について、2021年度から履修主義から修得主義へと大きな変更が行われるという情報が入りました。

受けた研修の時間数ではなく、研修後の態度あるいは行動をより重要視するという動きです。業界を挙げて、そこで働くMRの行動を一定レベル以上にしようという試みであり、大変興味深い内容です。

まだ明確化されていない部分もありますが、製薬企業は、MRの態度あるいは行動が目標とするレベルにまで達するように教育研修を企画実施し、その効果測定をしていくことになるでしょう。こういった動きをカークパトリックの4段階評価に照らし合わせて見てみると、新たな気づきがあるかもしれません。

教育設計はゴール設定から

研修自体の企画やデザインは、設定される研修効果に到達できるように作成します。言い換えると、「最初に、研修の到達点(ゴール)を設定し、それをどのように測るかを決め、到達するために研修を企画し、研修をデザインし、開発して実施する。実施後は、当初の測定方法にて研修評価を行う」ということです。

目指すべき目標(ゴール)を定めて、その測定方法を考えるという手順が大切です。このような手順や仕組みを提供するのがインストラクショナルデザイン(ID)という考え方です。

※IDについては、「ID(Instructional Design)とは」でもご説明しています。

 


研修効果の測定方法のデザインについて学べる講座や、評価に関するご相談やご提案をさせていただくサービスもございますので、ご不明な点や、お困りの事などありましたら、お気軽にお問合せください。

弊社サービスご案内1

ビジネスID講座

研修設計ご担当者様に効果的・効率的・魅力的な研修デザイン手法を学んでいただく全3日間の講座。

 

<ご活用例>

4つのレベルごとの目標の設定方法・評価方法、それらを達成するための研修設計方法を学んでいただくことができます。講座では受講者の方が実際にご担当される実際の研修をテーマに研修企画書を作成いただきます。講師や業界内外の企業教育に携わる他の受講者の方からフィードバックが得られますので、講座修了時には研修企画書を更に改善することができます。

※各期定員18名。先着順ですので、お早目にお申込みください。講座詳細・お申し込みはこちら

弊社サービスご案内2

ADDIEアセスメント

貴社の研修を拝見し、ADDIEモデルの分析・設計・開発・実施・評価の5つのフェーズごとにアセスメントさせていただき、研修をより効果的、効率的、魅力的にさせるためのご提案させていただくサービス。評価のフェーズではレベルごとの目標設定や評価方法についてアセスメントさせていただきます。

弊社サービスご案内3

コンサルティング・ワークショップ

貴社の課題に合わせ弊社がファシリテーションを担当し、課題分析やアドバイス業務を担わせていただきます。テーマやご予算に応じて、ワークショップの時間数や回数をご相談させていただきます。(例:3.0h×4回)

<ご活用例>

研修の改善や、育成体系のグランドデザイン、eラーニング化のご相談等、弊社がファシリテーションを担当し、課題分析やアドバイス業務を担わせていただきます。

テーマやご予算に応じて、ワークショップの時間数や回数をご相談させていただきます。(例:3.0h×4回)

ご利用事例はこちら

 

関連記事

close

LABO 記事検索

カテゴリー

視点

テーマ

タグ

おすすめの記事

close
無料ダウンロード

無料ダウンロード

企業内教育に
活用できる
フレーム配布中