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効果的・効率的・魅力的な教育を行うためには、教育戦略が必要です。ID(インストラクショナルデザイン)は、研修の効果と効率と魅力を高めるためのシステム的なアプローチで、研修が受講者と所属組織のニーズを満たすことを目指します。
みなさんは、どのような教育観をもって、研修を行われているでしょうか。
私たちは、小学校、中学校、高校、大学と長年にわたる学校教育を受けてきました。ここで受けた教育観というのは非常に根強く、ずっと大人になるまでひきずっていくものだと言われています。
私たちが担っている教育は、企業内で行われる教育です。学校教育と大きく異なるのが、企業教育はビジネスの世界の中の話ということです。最終的には、会社の売り上げにつながり、会社の繁栄、ひいては社会貢献がゴールとなります。
学校教育は、「Just in Case」いつか役立つだろうということを学ぶことが学習の目的と言えます。一方の企業教育は、「Just in time」今行っている仕事に役立つことをタイムリーに学ぶことが求められます。
ですから、私たちトレーナーは、研修をすることが目的なのではなく、研修が終わった後の活動に、どう活かせるのかということを念頭に置いておかなければならないのです。
大人の学びのことをアダルトラーニングと表現します。アダルトラーニングには、一般的には、以下に示すような特徴があると言われています。
さて、みなさんが実施している社員教育は、これらのアダルトラーニングの特徴を加味した内容になっていましたでしょうか? 社員が現場で抱えている課題を解決するものではなく、子どもの学びの特徴にもあったような「教科中心的」なものになってはいませんか?
社員教育を企画・実施するものは、現場で何が起こっているのか、社員が何を考えて悩んでいるのかを常に意識しておかなければいけないのです。
みなさんは、KKDという言葉をご存知でしょうか?
KKDとは、勘と経験と度胸の日本語の頭文字をとったものです。よく「企業の教育担当者は、自分たちの勘と経験と度胸だけで社員教育を行っている」とか、「それじゃ、社員はちゃんと育たないよなぁ……」といったことを耳にします。
ID(インストラクショナルデザイン)は、KKDのみに頼らず、戦略的に教育を設計する際に使えます。
効果的・効率的・魅力的な教育を行うためには、まさに、教育戦略が必要なのです。社員の現状と、あるべき姿(目標)の間にあるギャップを埋めるために、教育を行うのですから、当然そこには戦略が必要です。
IDの日本の第一人者である熊本大学の鈴木克明先生は、
「インストラクショナルデザインとは、研修の効果と効率と魅力を高めるためのシステム的なアプローチに関する方法論であり、研修が受講者と所属組織のニーズを満たすことを目指したものである。」 と、IDを定義されています。
企業内教育も、この3点セットが揃うと、更なる成長が期待できるでしょう。
教育の効果 |
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教育の効率 |
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魅力 |
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IDは、教育の入口と出口を明確にすることからスタートします。
入口とは、学習者の現状のことで、出口とは、学習目標(研修のゴール)を指します。学習目標は現場で求められるパフォーマンスにひもづくように設定し、知識目標、スキル目標、マインドの目標などに分けられます。
また、学習目標を定めると同時に、評価方法を決めておく必要があります。例えば、ある研修の目標が知識習得であれば、知識レベルを評価するためのテストを事前に用意するということです。
これらの入口、出口を明確にしたうえで、その間にあるギャップを埋めるための教育戦略(学習方略)を考えていきます。例えば、どんな教材を使って、どんなやり方(集合研修が向いているのか、それとも自宅での自己学習が向いているのか)で進めるのかといったことを具体的に考えていきます。
そして、これらのことを全て記した「教育の設計書」を事前に描いたうえで、実際に使用するPPTやビデオなどを準備していきます。
※教育の設計書については、こちらの記事でもお話しています。
この際、入口の学習者分析を行った際に、明らかに、入口(レベル)が異なるグループがいくつかあった場合には、(本来は、)それぞれのレベルにマッチした教育戦略を立てておく必要があります。
教育も当然ながらPDCAを回す必要がありますが、そこでご紹介したいのが、IDの最も基本的なプロセスモデルであります、ADDIEモデルです。
ADDIEとは、分析Analysis、設計Design、開発Development、実施Implementation、評価Evaluationの5つの頭文字をとって、ADDIEモデルと言われています。
ビジネスの世界では当たり前のPDCAサイクルですが、教育の世界では、このプロセスが上手く回っていないことの方が多いのです。特に、分析、設計、評価のフェーズが欠けていると言われています。
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