コラム

テレワーク導入で試される個々人の倫理観
倫理教育をどう設計する?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応で急遽テレワークを導入した企業様にとって、システム等環境面での整備だけでなく、機密情報の管理や在宅での業務遂行など、従業員の倫理観をどう醸成していくかという点も重要なテーマになっているのではないでしょうか。

企業倫理は、学問としての歴史は浅く、確立されたのは1980年代になってからです。エンロンやワールドコム、日本の乳業メーカーなど大企業の不祥事が社会問題となり、企業倫理に対する世間の関心が高まってきたことが学問の確立の発端でした。

企業倫理を根付かせるための3つのポイント

企業倫理を根付かせるためにはどうしたらよいでしょうか? ポイントは3つあります。

① 企業のトップや経営層の倫理と責任

コンプライアンスオフィサー資格の教材やリスクマネジメント協会の発信によると、最も重要なことは、企業のトップや経営層の倫理と責任だといわれています。この点には異論はないでしょう。

② 従業員が「おかしい」と感じる嗅覚

従業員が業務中に自分の良心や倫理観に照らして、「おかしい」と気づくことができ、かつ、改善への具体的な行動がとれるようになることが重要です。こちらについては後述します。

③ 「おかしい」に対応できる仕組みづくり

従業員が「おかしい」と思いとどまった際に、この情報を収集し対応できるような仕組みづくりも欠かせません。この仕組みには、企業内の環境を整備するような幅広い内容を含みます。

具体的な事例を用いて「おかしい」という感度を身につける

では、従業員に「おかしい」と気づかせるためにどのような教育を設計すればよいのでしょうか。また、「おかしい」と感じた際の対処の仕方はどう身につければよいのでしょうか。

大前提となる従業員の個人的な倫理観は採用の段階で確認されているかと思いますが、バラバラの状態の倫理観を土台にし、企業倫理を教育していくことは簡単なことではありません。誰でも法や社内規定に違反してはならないことはわかります。しかし、組織としての目標の達成や出世などの社内待遇を鑑みて、倫理に反する上司の業務命令を跳ねのけられないという状況はたくさん発生します。

持松(2007 日本経営倫理学会誌 従業員に対する倫理教育の実態調査研究)によると、従業員の倫理教育を充実させていくためには、「具体的な事例を用い、身近な問題として位置づけた上で、継続的に教育のレベルや対象者を意識し、段階的な発展性を持たせた従業員教育を実施する必要がある。」と結論付けています。

つまり、倫理教育やリスクマネジメント教育、インシデント教育などの教育プログラムの設計にあたっては、事例学習が適しているということです。職場において実際に起こり得るリアルな事例を取り扱い、その中で判断や対応方法を学ぶのです。

例えば、営業職では「顧客の利益vs営業個人の利益」でどちらを選択するのかを問うような内容であれば効果は高いでしょう。このように事例を用いて、段階的にレベルアップをはかっていきましょう。

倫理教育はなぜ難しい?

インストラクショナルデザインでは、学習目標の特性に適した教育方略や評価方法を用いて教育設計を行います。「おかしい」と気づいた時、自らあるべき行動を選択できるという学習目標は、「知識」「運動技能(スキル)」「態度(マインド)」と3つに分けられる学習目標のうち、「態度(マインド)」に該当します。「態度(マインド)」は、3つの中で一番難易度が高いといわれています。

「知識」「運動技能(スキル)」を「あたま」「からだ」の学習目標とすると「態度(マインド)」は「こころ」の学習目標です。「こころ」に影響を与えるためにどのような材料を用意し、どう届けるのか、また「こころ」に変容があったということをどう確認するかという評価設計も工夫が必要となります。

学習目標の分類について詳しく知りたい方へおすすめの参考文献


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