インタビュー・対談

【教育部門インタビュー】
小野薬品工業株式会社 様

本記事は2024年2月27日に公開した「【ビジネスID講座修了生インタビュー】#1 小野薬品工業株式会社 下村えりか様」の関連記事です。

ビジネスID講座 第33期にて優秀な成績を修められた下村 えりか様のお話を伺う中で、教育担当者の方がパフォーマンスを発揮することができるのはご自身の努力に加えて、所属する組織の環境が整っていることが欠かせないということが改めて見えてきました。小野薬品工業株式会社の営業研修部はどのような組織環境で、どのようにメンバーを育成されているのでしょうか。下村様の上長である部長の鈴木清忠様と課長の城方孝充様に営業研修部の変遷や活動内容について伺いました。

※ビジネスID:ビジネスインストラクショナルデザインの略。

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営業研修部の変遷~3つのフェーズ~

教育担当者が所属する営業研修部について教えてください。組織環境づくりやメンバーの育成に関して、どのような取り組みをなさってきたのでしょうか?

鈴木 営業研修部の取り組みについて、現在に至るまでの経緯も含めてお伝えします。振り返ってみると、大きく3つのフェーズがあったように思います。

 

フェーズ1:新たな組織発足とIDの導入

営業研修部は7年前に、プライマリーとオンコロジー領域の教育部門の再編によってできた組織です。両教育部門を統合し、能力開発の機能を加えて、現在の営業研修部が新設されました。変化の激しい製薬業界を生き抜いていくためには、MR(Medical Representatives:医薬情報担当者)への製品教育だけでなく、一般社員から管理職まで対象を広げた一貫した教育体系を築いていく必要があるとの考えから組織の再編がなされたのです。

ちょうどその頃、ID(インストラクショナルデザイン)という教育手法を知り、それを様々な施策に取り入れていくようになりました。新しく営業研修部に迎え入れた社員にも、その手法が活用できるように、早い段階でビジネスID講座を受講してもらうようにしています。

IDの導入当初は従来の講義型研修から教育方法を大きく変えたため、社員にも戸惑いがあったようです。しかし、参加者主体の研修の成果を実感するにつれて、徐々に迷いはなくなりIDが教育部門内に浸透していきました。

 

フェーズ2:教育の成果と課題の明確化

一般的に教育の効果測定は難しいと思われがちですが、IDによって個々の研修の成果を実感できるようになると、その考えが営業研修部のなかで払拭されていきました。そして次は、共通の評価指標を用いて、教育成果を測定しようという取組みに変わっていきました。同時に教育における課題を明確化させることができるようになり、改善につなげる体制が整っていきました。

次第に、現場や他部署からも「どうしたら効果的な教育ができますか?」といった相談を受けるようになっていきました。さらに、社内でも営業研修部の取り組みが表彰されるなど高い評価をいただきました。IDを取り入れ、効果的な教育の実施のためにメンバーが一丸となって取り組んだことによる大きな成果だと捉えています。周囲への影響力の大きさを、部門内の全員が実感していました。

 

フェーズ3:教育部門としてのプレゼンス向上(現在)

教育の対象となるテーマの幅が広がっています。以前はMRの専門知識やスキルの習得が中心でしたが、他部署からの信頼が向上し相談も増えた結果、現在では企業理念の浸透、職場の学習に関する支援なども扱うようになりました。例えば、女性活躍推進※1などのテーマについては営業研修部で企画し、人事部と連携しながら進めていくことになりました。連携することで会社としてよりメッセージ性が高い教育を提供できるので、人事部や他部署とは、これからもうまく連携していきたいと考えています。

さらに、営業研修部に入りたいと手を挙げてくれる社員も増えており、大きな変化を感じています。

リクエストがより多岐にわたるようになったこともあり、営業研修部のトレーナーとして求められるスキルとレベルを可視化したスキルマップを作成しています。そして、それに見合うトレーナー育成にも取り組んでおり、その一環としてビジネスID講座への参加も促しています。

※1 ビジネスID講座第33期優秀修了生 下村えりか様による教育企画

 

城方さん城方 私は4年前に営業研修部に異動になりましたが、その時点からも組織は大きな変化をとげています。社内公募への応募が増えていることからも、営業研修部のプレゼンスが向上していることを感じます。営業研修部が実施した研修を受講し、学びを得て、成長実感につながった経験から、営業研修部で人財教育の理論や方法などを学び、それを組織に還元することで会社の成長に貢献していきたいという考えに繋がっているようです。現在、営業研修部としては「教育部門としてのプレゼンス向上」が実現できているフェーズ3まで到達しており、組織としてのレベルの高さを感じています。

各フェーズの詳細について

フェーズ1では、IDを導入することで、インプット型の研修からアウトプット型の研修に変更するタイミングがあったと思います。営業現場やMRからの反発はありませんでしたか?

鈴木 反発はなく、むしろ好評でした。参加者から拍手がわく研修もあったほどです。それまでの講義型研修から、参加者主体型の研修に組み直したことで、参加者の関心が高まり、集中力を持続させて受講することができるようになったようです。IDの効果を実感しましたね。

 

フェーズ2では、教育の効果測定を実施したとのことですが、どのように測定されたのでしょうか?

鈴木 フェーズ1の頃は、カークパトリックのレベル1(受講者のアンケート調査などによる、受講直後の満足度評価)を参考にしていたのですが、フェーズ2では、より正確に効果を測定するために、レベル2(試験やレポートなどによる、学習到達度の評価)を必ず測定することにしました。これにより、「この研修プランで、目標値に到達するだろうか」といった具体化された議論ができるようになり、より効果的な研修設計へとつながっていきました。また、学習到達度が測定できるようになると、他部署とのコミュニケーションの際にも、教育の効果について納得を得やすくなりました。最近では、テーマによってはレベル3(インタビューや同行調査などによる、行動変容の評価)の測定も試みています。

 

城方さん城方 営業研修部全体で、トレーニングゴールだけでなく、パフォーマンスゴールまで意識することが根付きつつあります。例えば、若手MRを対象としたロジカルシンキングの研修では、数か月後、学習した知識を現場で活用できているかといったパフォーマンスを評価するようにしています。可能な限り、どのようにレベル3を測定するかまでをセットにして研修設計を行っています。

効果測定により課題が明確化し、以前の「一つの研修をどう作るか」という視点から、上長の関与も含めて、「どう学びの場を作っていくか(ワークプレイスラーニング)」という高い視座を持てるようになってきています。

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メンバーの変化について

このような教育部門としての進化があるからこそ、優秀な教育担当者の方が育成されていくのだと感じました。例えば、ビジネスID講座優秀修了生の下村様の変化はどのように感じていらっしゃいましたか?

城方さん城方 研修部の専門性を高めていく中で、他部署との連携やワークプレイスラーニングの検討が進んでいきました。こうした環境づくりが進んだことも、下村が大きな関心を寄せてきた女性活躍推進をテーマにした取り組みをスタートしたいと考えることにつながっていったのではないでしょうか。

 

鈴木 下村は、IDを独学で学んだことや、ライフステージの変化もあって、ビジネスID講座の受講は急いでいなかったようです。ただ、扱うテーマが変わったことが講座を受講するきっかけになりました。それまでは、製品研修を担当することが多かったのですが、現在はより幅広いテーマを扱う必要が出てきました。答えがないような難易度の高いテーマを扱ったり、ステークホルダーとの交渉も増えたりと、ビジネスIDの考え方を体系的に学びたいという思いが講座の受講動機になったようです。

振り返ると、このような変化をとげることができたのはビジネスID講座への参加に加えて、サンライトヒューマンTDMC(以下、SLH)のコンサルティングサポートがあったからだと思います。フェーズ1のID導入時には、新しい取り組みがゆえにメンバー間での混乱を心配しましたが、SLHの方から丁寧にご説明いただいたことで、問題なく浸透しました。あの時に、「まず取り組んでみよう」と前向きになれたことが、今につながっているのだと思います。

 

城方さん城方 営業研修部に異動になって早々に、SLHの皆さんと一緒に新任営業所長研修の設計に関わらせていただき、実際のファシリテーションも近くで見る機会を得ることができました。設計、ファシリテーションに加え、ベースとなる理論的思考なども学べて、成長の糧にすることができました。ビジネスID講座で基本的な知識をインストールすると共に、実践の場でのサポ―トが得られたことで、組織の成長につながっていると実感しています。

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今後の展望

最後に、今後の営業研修部の展望について教えてください。

鈴木   営業研修部のミッションは、社員の学習を支援することで自己成長を促し、その社員を介して患者さんのウェルビーイングに貢献することです。そのためには、我々が社員に学習の機会を提供することに留まらず、「社員自らが学ぶ風土」の醸成が必要不可欠であると考えています。この風土をどのように創り上げていくかが喫緊の課題であり、その取り組みを開始しています。現時点では模索段階ですが、常に学習者の視点で議論を重ね、弊社独自の学習スタイルの構築をめざしていきます。

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