タグで探す
注目キーワード
イベントレポート
サンライトヒューマンTDMCでは、7月14日にインストラクショナルデザインの第一人者である熊本大学大学院 鈴木克明教授と第2回YouTubeライブ「魔法のリモート物語」を開催しました。平日のお昼にもかかわらず100名以上の方にご視聴いただき誠にありがとうございました。前回のライブへのお便りから、「具体例をもっと知りたい」というニーズにお応えし、今回はテルモ株式会社様、日本航空株式会社様の2社の教育のご担当者様にwithコロナでのオンライン教育の実践例を伺いました。
本ページでは、テルモ株式会社様の事例をご紹介いたします。
テルモ株式会社様の新人研修をオンライン化した実践例をご紹介します。
この事例は魔法のリモート物語Vol.1で医療機器メーカーの教育ご担当者様からのお便りとしてご紹介させていただいておりました。ライブ終了後、ご準備の舞台裏や後日談について、お便りをくださった綿奈部さんと、上司の北村さん(熊本大学大学院修了生でもいらっしゃいます)にインタビューをしました。
このコロナ禍で、新人研修のオンライン化がうまくいった理由について綿奈部さんはこうお話されています。
2019年7〜9月のビジネスID講座に参加した際に、skype活用も盛り込んだブレンド型の「入社2年目向けの研修」を設計し、実際に10月〜3月にかけて実践をしました。コロナ禍となり、急遽3月に「新人研修」もオンラインで取り組むことになったのです。ですから、ブレンド型の研修で得た知見を応用することができました。
実際に受講者からは、当初の心配をよそに
という声があがりました。
なお、前回いただいた
【お悩み】現物(製品や現場)に触れる機会を設けることに苦労しています。
に対する鈴木先生のフィードバックは以下の通りでした。
製品や現場に触れなくてもできることはないかを検討しましょう。できるようになってほしいことを分解して考えるのがポイントです。例えば、製品知識を学ぶことは製品がなくてもできます。できることはリモートでやっておいて、製品に触れられるようになったらできなかったことをする。この時、最初から全部を学ぼうとすると時間がかかりすぎてしまいますからね。
こちらに対して、教育の精査と具体化について北村さんが語りました。
オンラインで「できること」と「できないこと(製品や現場に触れるなど)」を整理して、「できること」からオンライン化するというお話に非常に納得しました。コロナの影響は継続するでしょうから、「できないこと」をどのように実践していくかにもチャレンジしたいです。
また、綿奈部さんは、今後の課題として、
「受講者がどのような行動ができるようになったか(カークパトリックのレベル3)」まで追求していきたいと話されておりました。
これらを総括して鈴木先生から未来に向けてのアドバイスをいただきました。
行動変容のためには、「お勉強モード」ではなく、「仕事モード」で研修をする必要があります。つまり、インプットではなくアウトプットを中心にする。さらに、覚えたことではなく、例えば、「こういう状況だったら、あなたはどういう行動をしますか」というようにパフォーマンスレベルでのアウトプットを問うことが必要です。
今回のコロナの蔓延は、これまで、ムダなことをしてきていないかをチェックするきっかけになったのではないでしょうか。省力化や効率化を考えて、本当に必要なことは何か、そのための手段は何かという棚卸しをするチャンスになるでしょう。
最後に、鈴木先生からアドバイスをいただきました。
対面で研修を受けられることはとても恵まれています。一方で、「何でもやってもらえる」という甘えが生じることも事実です。遠隔教育や通信教育で学んできた人は、大変ではありますが、逆にいえば、主体的に勉強や行動ができるようになります。そういう環境をあえて作るような研修デザインをしてもいいのではないかと思っています。
熊本大学大学院では、「こちらは余計なお世話はしませんから、問題があれば連絡してきてください」と説明しています。新人研修もそういうスタンスで、最初に、「自分で動きなさい。その代わり困ったことがあったらサポートします。自分の足でちゃんと前に進めるようにするための道だから、ぜひ頑張って完走してください」と伝えるといいかもしれませんね。
インストラクショナルデザインがインストールされていると今一体どこまでできていて、今後はどこにより注力するのかが明確で、綿奈部さんと北村さん、上司部下の振り返りも大変ID的だったのが印象的でした。
北村さんは熊大で学ばれた後、10年近くかけてテルモ様の中で試行錯誤してやってこられました。今は教育部門のマネジメントをされるお立場で、綿奈部さんなど部下の方々にもインストラクショナルデザインを学ぶ機会を提供されています。
チームでインストラクショナルデザインの「共通言語」を持ち、実践されているからこそ、コロナ禍でもスピーディーにオンライン研修に再設計され、研修を進化させていらっしゃたのではないでしょうか。
コロナの影響もあり、組織的にインストラクショナルデザインを取り入れ、グランドデザインを描いていくことが企業内教育の中でますます重要になってきているのではないでしょうか。
北村さんのように教育部門をマネジメントされるお立場の方は、組織立った動きをして、経営層の方のご納得いただけるようなコミュニケーションをすることが、今まで以上に求められているように感じます。
事例をご提供いただきましたテルモ株式会社様ありがとうございました。教育部門の上司部下の会話にインストラクショナルデザインのフレームが共通言語として使われることで、教育部門がビジネスの成果に貢献する力とスピード感が各段にアップすることを実感する事例でした。コロナがきっかけで研修の棚卸ができる、よりアウトプット中心になるという鈴木先生のコメントはみなさまも頷くことが多かったのではないでしょうか。
次回事例をお届けできるのは10月30日(金)開催のBIDによる教え方改革2020「秋物語」になります。
皆様の学びのヒントになる事例をお届けしたいと思いますので、お楽しみに。
タグ
関連記事
イベントレポート
イベントレポート
2021/12/17
[テーマ]教育部門の新たな価値創出教育担当者の能力向上キーパーソンの巻き込み
ビジネスインストラクショナルデザインによる教え方改革 秋物語 2021 【アッヴィ合同会社様】詳細検索
注目キーワード
ID(インストラクショナルデザイン)とは
【研修レポート】
人的資本経営推進に資する人財育成のあり方研修
~ビジネスインストラクショナルデザイン~
【コンサルティング事例】
Mission・Vision・Valueの策定サポート
―管理職向けワークショップの企画・運営―
【ワークプレイスラーニングを考える】
第5回 未来に向けてどんな人財を目指すか
【元教育部長ハヤカワの本音】
研修の現状分析によって、何が変わるでしょうか?
おすすめの記事