イベントレポート

2020/5/31 YouTubeライブ 魔法のリモート物語 
Withコロナ時代の企業内教育
~インストラクショナルデザインの第一人者、
熊本大学大学院鈴木克明教授と企業内教育を考えよう~

サンライトヒューマンTDMCでは、5月31日にインストラクショナルデザインの第一人者である熊本大学大学院 鈴木克明教授と初の試みであるYouTubeライブ「魔法のリモート物語」を開催しました。現場で奮闘されている教育担当者の皆様に、オンライン化のお悩みや実践を通して得た新たな気づきをお寄せいただき、この危機を乗り越える”ヒント”と”勇気”を得ていただく機会としていただければと急遽開催したため、直前のご案内となりましたが、100名以上の方にご視聴いただきました。ありがとうございました。 イベントでは、新型コロナウイルス感染症が企業内教育にどんな影響を及ぼしたのかをお伝えしました。この危機を乗り越えるための”ヒント”と”勇気”が詰まったYouTubeライブをレポートします。

コロナもIDも「出口の設計が重要」

イベント冒頭では、コロナ対策とインストラクショナルデザインの共通項について話がありました。コロナ対策は、最初はHow(どう対策を講じるか)が話し合われていましたが、最近になって「どこを目指すのか」という出口が示されるようになりました。出口(目標)を決めて、入口(現状)とのGAPをHowで埋めていく。インストラクショナルデザインの考え方をすることで、コロナ対策についての構造が見えやすくなりました。

コロナによる企業研修の変化

ビジネスID講座修了生アンケートから見えた現場の実情

対面の研修ができなくなったため、Web研修が増加しました。弊社がビジネスID講座の修了生を対象に実施したアンケートでは、「オンライン研修で苦労したこと」は以下の通りでした。

アンケート結果:オンライン研修で苦労するポイント 1位「受講生の反応がわかりにくく不安」 2位「ネットワークが途中で途切れる」 3位「双方向型の設計が難しい」

鈴木先生(熊本大学大学院教授・専攻長)からは、「受講生の反応がわかりにくく不安」という回答に対して、

受講生の反応がわかりにくかったとしても、研修後に課題を出し、その到達度によって理解度を推し量るとよいでしょう

というアドバイスがなされました。

続いて、サンライトヒューマンTDMCが関わっている企業様の「生の声」をご紹介ました。

①医療機器メーカーの教育ご担当者様の事例 「新人研修を全てリモートに」

【実践】集合研修の内容の7~8割は、リモートで実施可能でした。ポイントは以下の3つです。

  • 講義部分はなるべく短くする(最大でも1時間)
  • 参加者の反応を促す(手を挙げる、チャットに書き込む、発言させる)
  • 適宜グループワークを挟む(必ずメモを取ってもらう)

【お悩み】現物(製品や現場)に触れる機会を設けることに苦労しています。

いただいたお悩みに対し、鈴木先生からアドバイスがありました。

製品や現場に触れなくてもできることはないかを検討しましょう。できるようになってほしいことを分解して考えるのがポイントです。例えば、製品知識を学ぶことは製品がなくてもできます。できることはリモートでやっておいて、製品に触れられるようになったらできなかったことをする。この時、最初から全部を学ぼうとすると時間がかかりすぎてしまいますからね

対面でやっていたことを全てそのままオンラインで実施しようと考えてしまいがちですが、オンラインとオフライン、デジタルとアナログを上手く使い分けしながら、できることを最大限することが大切な視点ですね。

加えて、インストラクショナルデザインの「ARCSモデル」と「レイヤーモデル」もご紹介しました。レイヤーモデルについては、当日のチャットでも多数書き込みが多く、皆様の関心の高さが伺えました。

 

②航空業界の訓練企画ご担当者様の事例 「運航乗務員向けCBTAセミナーのオンライン化」

【実践】対面で行っていたCBTA(Competency-Based Training & Assessment)セミナーをZOOMを活用してオンラインで実施しました。ポイントは以下の2つです。

  • 参加人数を10名程度に制限し、ZOOMの1画面に全員の顔が映るようにする
  • 運営側はPCの他、モニターを用意し、参加者全員の顔を見ながら進行する

【お悩み】ペアワークやグループワーク等で、ノンバーバルコミュニケーションを確認したいところで、顔だけしか見れず、姿勢や体全体の仕草が見れない。

鈴木先生からは

頭の中での理解を問うメンタルシミュレーションと、実機の操作等を問うフィジカルシミュレーションを分解することで、オンラインでどの部分を担うかを考えるヒントになるだけでなく、フィジカルシミュレーションに伴うコスト節約のヒントにも繋がります。

というアドバイスをいただきました。

 

③飲食業界の教育ご担当者様の事例 「高卒社員研修の配属先の現場を巻き込んだブレンド化」

【実践】(入社式、集合研修、店舗OJT、OFF-JTを絡めながらフォローアップという予定でしたが)、今回、「ゴール設定」を事前にしておいたことで高卒社員を無事に現場に送り出せました。入社式をオンラインで済ませた後、高卒者たちは翌日から店舗勤務せざるを得ない状況でした。しかし、ゴールが明確であったため、やるべきことが見えていたのです。翌週には先輩社員に目標を共有し、モニタリングをしながら各々のトレーニングゴールを達成できそうな状態を作ることができました。

【重視したポイント】

  1. ゴールの明確化
  2. インストラクショナルデザイン理論で設計
  3. 現場を巻き込む

鈴木先生からは「良かったじゃないですか!」というコメントとともに、

今年この形でできたということは、来年の新人研修にも変化がありそうですよね。今から評価や改善を考えておくと良いでしょう。

と未来に向けたアドバイスをいただきました。

また最後に

新型コロナが落ち着いても、今までどおりに戻ろうとしないでプラス1のステージを考えることが『ニューノーマル』です。新しい経験を踏まえてワンランクアップを目指していきましょう。

というメッセージをいただきました。私どもも皆様と一緒に新しい経験からリフレクションし、概念化実践経験学習モデルを回しながら、ワンランクアップを目指していきたいと思います。 

※当日ご紹介いただいた鈴木先生のコラムはこちらでご覧いただけます。

ヒゲ講師のID活動日誌(81):with新型コロナの「ニューノーマル」をデザインする

あとがき

企業教育のオンライン化においてもIDが必須!

3つの事例から、集合研修からオンライン研修への転換のカギはインストラクショナルデザインが握っていると改めて感じました。

またこれまで約200名の企業内教育ご担当者にご受講いただいているビジネスID講座ですが、今回お寄せいただいたアンケートから修了生の皆様のご活躍の様子を伺うことができ、大変うれしく思いました。

今後のビジネスID講座では、オンライン学習や非同期型のeラーニングもブレンドしながら開催していく予定です。講座を受けていただくことで、ビジネスIDを学びながら、ブレンド型のコンテンツを体験していただけます。

新たな研修体制の構築をインストラクショナルデザインを活用して構築してはいかがでしょうか。

 

今後もこういったイベントを企画中ですので、改めてご案内させていただきます!

ダイジェスト版動画

当日のダイジェスト版動画を公開いたしました。是非ご覧ください。