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サンライトヒューマンTDMC代表の森田 晃子です。
前回は、人材教育の「出口と入口」をつなぐロードマップ作成術を説明しました。今回は、優秀な人材を育てる「研修計画書(ミクロデザイン)」の概要を見ていきます。
ロードマップが完成したら、続いてミクロデザインに落とし込んでいくことになります。ミクロデザインは1つの研修のデザインのことです。つまり、ロードマップに複数の研修が盛り込まれていれば、その研修の数の分だけミクロデザインを作成することになります。
私は、ミクロデザインを設計する際には、「研修計画書」を作成します。そこで、研修計画書の作成方法についてお伝えしていきます。
ミクロデザインの作成は、研修実施の数カ月前くらいからスタートするとよいでしょう。数カ月間あれば、研修を現場での温度感にマッチしたものにブラッシュアップしながら構築していくことができます。
以下の図表1は、企業内の人材教育担当者向けのインストラクショナルデザインワークショップを依頼されたと仮定して作成したサンプルです。
[図表1]研修計画書(ミクロデザイン)のサンプル
もちろんロードマップを作成している時点で、仮説としておおまかな研修アジェンダはイメージしているはずです。
しかし、その時点でミクロデザインの細部まで作り込んでいくことは危険です。一度ミクロデザインを作り込んでしまうと、現場の雰囲気や状況が変わっているのに、柔軟に変更せず、描いたデザインのとおりに研修を実行したくなってしまいます。
また、対象者の上司の協力を得る際に、既に作り込まれたミクロデザインを見せると、指摘も細かくなりがちです。重箱の隅をつつくような指摘ばかりが出ては、研修自体も抜本的に良くなることはありませんし、人材教育担当者の負担も大きくなってしまいます。
対象者の上司とは、詳細なミクロデザインではなく、全体感を共有し、大きな方向性を構築する上で協力してもらう関係性を結ぶ方が賢明です。
まずは大枠について対象者の上司の同意を得た上で、詳細なミクロデザインを作っていくというステップです。
ロードマップの作成が広い意味でのインストラクショナルデザインであるとすれば、ミクロデザインの作成は狭い意味でのインストラクショナルデザインといえます。また、「モチベーション理論」、「大人を飽きさせないアダルトラーニング」、「アクティビティなどの盛り込み方」などのさまざまな手法を検討した上で、設計をしていくということも必要です。
より効果的・効率的で魅力的な研修にするためには、集合研修だけでなく、個人学習、職場学習(ロールプレイ練習やチーム勉強会など)、実践学習(同行OJTなど)も検討します。事前・事後のアセスメント、さらには、SNSの掲示板機能を使った情報共有、情報検索など、さまざまなITメディアの活用も有効です。
ゴールから逆算しながら、これらをうまくブレンドしてトータルデザインをしていくとよいでしょう。こうした教育手法を多様に組み合わせることを「ブレンディッドラーニング」といいます。
ミクロデザインは、研修の5W2Hを考えるということでもあります。5W2Hの整理の仕方をご紹介しましょう(図表2)。
[図表2]研修計画の5W2H
社内にあるさまざまな情報・データから「なぜこの研修が必要なのか(Why)」を分析することからスタートします。
この分析の結果をもとにして、「研修のゴールをどこに定めるか(Where)」、「決めたゴールに到達したかをどうやって測るか(How①)」を決めます。出口が決まれば、「何を(What)」、「誰に(Who)」、「いつ(When)」、「どんな(How②)」を考えていきます。
◀◀魔法の人材教育【連載 第10回】人材教育の「出口と入口」をつなぐロードマップ作成術
魔法の人材教育【連載 第12回】優秀な人材を育てるための「研修計画書」の作り方①▶▶
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