インタビュー・対談

【ビジネスID講座 修了生インタビュー】300番目のビジネスID expert
小野薬品工業株式会社 城方孝充様

企業内教育でインストラクショナルデザインを活用できる教育専門家の証である【ビジネスID expert】の認定者数が300名を超えました。

記念すべき300番目は小野薬品工業株式会社の城方(じょうほう)孝充様です。城方様に、300番目の認定者になられたご感想やビジネスID講座で学んだことなどをお聞きしました。さらに城方様の直属の上長で、ご自身もビジネスIDexpertを3年前に取得された能力開発室 室長の廣谷 紀之様、営業研修部 部長の鈴木 清忠様に、ご受講後の城方様の変化や組織にビジネスインストラクショナルデザイン(BID)を導入したことによる成果などをお話いただきました。

インタビュー

実際の研修に生かし、受講生同士で学びを深め合う

 300番目のビジネスID expertに認定されたご感想を教えてください。

講座を受講したタイミングが良かったということもありますが、率直に嬉しかったです。ビジネスID expertという資格を取得できたこと、課題や発表をご評価いただき第24期修了メンバーの代表として選んでいただいたことを嬉しく思います。

弊社では、研修部メンバーの多くがビジネスID講座を受講し、資格を取得しています。会議などで頻繁にBIDに関するワードが出てくるため、「ビジネスID講座とはどんなものだろう。早く受講して同じレベルでディスカッションできるようになりたい」と思っていました。また、教育に携わる人間として自分自身もスキルアップしたいと感じていたので非常に楽しみにしていました。

本講座の受講を通して学ばれたことを教えてください。

研修設計における受講者分析や、メリルの第一原理などに代表されるID理論、研修評価などの重要性について学びました。これらは、研修の成果を得るためには欠かせません。

私が課題として取り上げた研修は、全員参加ではなく選抜研修でしたので、特に受講者分析の重要性を感じました。正しく分析ができていないと適切なレッスンプランを立てるのは難しくなります。

メリルの第一原理については、講座受講中にちょうど社内で企画していた研修に取り入れることができました。最初に、我々のビジネスの現場に起こりそうな課題をテーマに設定し、ロールプレイをすることで受講者を引き込むことができました。成果の評価はこれからですが、受講者の取り組み方が変わりましたし、受講者からの反応も良く、手応えを感じることができました。ビジネスID講座の受講前からメリルの第一原理については知っていましたが、講座では、その意図や狙いなど原理の奥にある本質的な部分を学ぶことができたと思います。

同期(社外・社内)や社内のビジネスIDexpertの先輩からの学びはありましたか?

同期(社外)の受講生の方からという点では、事前課題に取り組む中で、自分自身で一旦、概念や理論を理解した上で、講座でディスカッションを行うので、自分になかったアイディアや視点に気づき、「そんな見方もあるのか!」という学びがありました。研修を設計する際にも、先入観を持たず、視野を広げ、さまざまな情報を基に考えていく重要性を改めて認識しました。

弊社からは、私を含めて3名が同時に受講していたので、他の2人ともコミュニケーションを取り合って、彼らが設計している研修も一緒に考えることができました。自分の設計した研修については、講座内でのプレゼンテーション前に社内の研修部メンバーに見てもらい、フィードバックを受けてブラッシュアップしました。メンバーの大半がすでにこのビジネスID講座を受講していますので、同じ目線で評価をしてもらうことができ、ありがたかったです。

講座には、インターバル期間がありますが、その期間中は、テキストを見直したり、考え方を整理しながら課題に取り組み、まさに経験学習モデルのリフレクションや概念化をしているなと思っていました。

上長から見た変化

IDを本質的に理解し現場で運用する

城方様のご受講前後での変化を教えてください。

受講前後では明らかに変わりました。

城方さんが研修部に配属になってから、OJTで研修設計について伝えてきましたが、どうしても全体像を伝え切れていない感覚を持っていました。講座を受講して、BIDの用語や理論について本質的に理解できるようになったと感じています。

また、これまではコンテンツ開発(How)から研修を作り込んでいく傾向がありました。しかし、受講後は、WhyやWhatを見極め、大枠のADDIEの観点で的確にとらえられるようになったように思います。

研修準備の際に、さまざまな打ち合わせや会議をするのですが、その時の城方さんのコメントが大きく変わりました。「そもそも現状はどうなの?」「どの辺を目指したらいいの?」「何がGAPなんだろうね」といったIDの本質をついた発言になっていて、頼もしく思います。

今後の展望

HPIの視点から課題解決に取り組みたい

今後、BIDで学んだことを業務にどのように活かしていきたいですか?

1つは、研修を一から設計することについて学ぶことができたので、より成果の上がる研修を設計していきたいです。部内の仲間が設計した研修についても、インストラクショナルデザインの観点から的確なアドバイスをしていきたいと思っています。

もう1つは、HPIの考え方を取り入れていくことです。講座でHPIについて学べたことはとても大きな収穫でした。これまでは、組織パフォーマンス向上、ビジネスゴール達成のために、まず研修ありきで考えていました。しかし、GAP分析をきちんとすることで、場合によっては、研修以外の選択肢もあるという視点を持てるようになりました。今ならば、「研修だけではなく、他のプランも検討してみませんか?」という提案ができるような気がします。研修部としての役割を更に認識してもらえるよう、貢献していきたいです。

今は現場の上長を巻き込める研修体制になり、その他の施策による解決策も見えてきたので、今後も、城方さんにはHPIの観点で発案や企画をしてほしいです。他のトレーナーに指導する機会を増やしてグッと腕を磨いてもらえたら嬉しいですね。

組織的に取り組む意義

組織にBIDが浸透し、業務の効率が格段にアップ

組織にBIDが浸透するメリットを教えてください。

ビジネスID講座の受講歴のあるメンバーは、業務経験を積むにつれて、更にBIDの理解が深まっていると実感しています。あらゆる会議でBIDのゴール設定、効果測定の視点で議論することがあたり前になりつつあることは、組織として良い傾向だと思っています。

研修部にBIDが浸透したことによって研修の成果も出ています。例えば、数年前の受講者アンケートと現在の受講者アンケートの結果を比較すると、今の方が格段に満足度が高くなっています。

その理由の1つとしては、準備に時間を十分にかけられるようになったことがあるでしょう。以前は勘と経験だけを頼りに短期間で準備をしていましたが、今は効率良くBIDの観点で設計ができるようになりました。

また、メンバー間にも共通言語が生じ、研修の業務効率も向上したと実感しています。だから、研修部のメンバーにBIDを知ってもらいたいと思ったのです。研修部の3分の2はビジネスID講座を受講しています。また、秋からも何名か受講させる予定です。

とはいえ、受講後の到達度にはバラツキもあるので、どうすれば全員がさらにレベルアップできるかを考えています。目標は、チーム内でBIDを指導できる人が出てくることです。

あとがき

個人の成長と組織の成長

小野薬品工業株式会社の鈴木様、廣谷様、城方様、貴重なお話をありがとうございました。

城方様のご受講後の変化は、BIDを業務での実践を通して自社の人材育成に活かしてくださったこと、そしてこういった実践を組織として促し、研修部内のメンバーがお互いに切磋琢磨できる環境を作ってこられた鈴木様や廣谷様のご支援があったからこそ、生まれたものだったのではないでしょうか。

下図は私たちが本講座やコンサルティングサービスを通してお伝えしているBIDの考え方を図にしたものです。

本講座での学びを通して、城方様の視点が「◆研修のHOW◆」から、会社としてのゴールと対象者の現状のGAPを捉え、そのGAPをどのように埋めるかというBIDグランドデザイン全体を捉える視点にぐっと広がっていたことがインタビューから伺えました。

また鈴木様、廣谷様から組織としての変化についてもお伺いし、人材育成に対する熱い想いにBIDの共通言語が加わることで生まれる強みを改めて実感いたしました。広いスコープで人材育成課題を捉え、強力なプロジェクト推進力で部内外のステークホルダーも巻き込み育成施策を実行していくことで、会社の経営戦略実現において今後更に重要な組織になっていかれるのではないでしょうか。

小野薬品工業株式会社の皆様、ありがとうございました。


本講座は2015年にスタートし、300名以上の方にご受講いただきました。修了生からのご紹介を中心に多くの方にご受講いただけたのは、皆様が実際の課題やお悩みを持ち寄り、真剣に取り組んでくださったことで、実践に向けたヒントやモチベーションを他の受講者の方からも得ていただける講座になったということが、大きかったのではないかと感じております。

第1期開講時から、講師からの学びはもちろんのこと、受講者同士の学び合いも大切にしてまいりましたが、小野薬品工業株式会社様のように研修部門の人材育成の一環としてビジネスID講座をご活用いただく企業様が増えたことや、様々な業界からのご受講が増えたことで、受講者同士の学びも多面的に深化しています。

これまでご受講いただいた皆様に、心より御礼申し上げます。

これからも企業内教育を担うご担当者様や組織の成長をご支援するため、講師・スタッフ一同尽力して参ります。

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