コラム

人材開発担当者の責任範囲とゴール、評価の関係

企業で人材開発を担われる皆さまは、「どのような研修を開発しますか?」という問いにどんな回答をされるでしょうか。今回は具体的な事例で一緒に考えていきましょう。

ゴールと責任範囲

皆さまが管理職のコーチング研修を開発することになったと仮定して、考えていきましょう。

「どのような研修を開発しますか?」という問いに皆さまはどのように回答されますか?Aさん、Bさん、Cさん、Dさんは以下のように答えました。

  • Aさん:受講者が、コーチングの概念を理解し、研修終了時点でコーチングできることを目指して開発します。
  • Bさん:受講者が、コーチングの概念を理解し、現場でコーチングができることを目指して開発します。
  • Cさん:受講者が、コーチングの概念を理解し、現場でコーチングを部下育成に活用することで、部下の行動変容が起こることを目指して開発します。
  • Dさん:受講者が、コーチングの概念を理解し、現場でコーチングを部下育成に活用することで、部下の行動変容が起こり、受講者の組織の生産性指標が改善することを目指して開発します。

皆さまのお考えは上記4人の誰に近かったでしょうか?

Aさんは、コーチング研修を参加者がコーチングの概念を理解し、スキルを身に付けることに責任があります。Bさんは、参加した管理職が現場でコーチングすることまでに責任があります。Bさんの場合は、参加者の上司に対して、参加者が研修終了後に現場でコーチングを実行することを支援して欲しいことについて、了解を得ていないと現場に戻っての実践まで責任を持つことは困難になります。

このように、企業での研修開発を行う場合に、研修を実施する目的に応じて、開発の範囲が決まり、開発者の責任の範囲が決まってきます。言い換えると、開発者の責任範囲を超えて研修を開発できないことになります。あるいは、研修の目的に応じて、責任範囲を変えないと開発できないことになります。

研修開発のフォーカス範囲・ゴール・効果測定の関係

研修開発のフォーカス範囲と研修のゴール、研修の効果測定は、それぞれバラバラに設定されるのではなく、それぞれが連動して決まります。

前述のコーチング研修の事例では、4者それぞれが研修のフォーカス範囲を決めて研修を開発します。その際の研修のゴールと研修効果測定指標の例は、次のようになります。

参考:カークパトリックの4段階評価モデルとは

開発のフォーカス範囲と研修ゴールと効果測定指標は、同時進行で自然と決まります。

経営課題解決には責任範囲を広げるチャレンジも

企業で研修を開発する際の実際の手順は、始めに研修のゴールを決めます。すると、その測定指標が決まり、自然に開発のフォーカス範囲が決まりますので、そのための責任範囲を確保します。

その研修を実施して当初の成果を得るには、開発のフォーカス範囲を網羅して責任を負うようにしなければ開発が困難です。現場での生産性を上げることを目的にコーチング研修を行うのであれば、そのための責任範囲を得ていないと実現が困難になります。

Dさんのような研修を開発するには、経営者を含めて、多くの社員に対して理解を求め開発を進めなければ実現できません。ビジネスインストラクショナルデザインのグランドデザインに沿って、4人の責任範囲を示すと下図のようになります。繰り返しになりますが、Aさんの責任範囲で、Dさんの成果は得られないということです。ビジネスインストラクショナルデザインの要素として、プロジェクトマネジメントを位置づけているのはこのためです。

実際には現在与えられている責任範囲に応じて、研修を開発せざるを得ないケースも少なくはないのではないでしょうか。経営課題解決や会社としての成果に繋げるという視点を持って、皆さまが自ら与えられた責任範囲を広げてチャレンジしていくことが求められているのかもしれません。

また経営者の方であれば、上図をご覧いただくと経営戦略上の課題で、”人”に関する課題は、人材開発により解決が可能であると改めてご実感いただけるのではないでしょうか。人材開発部門が経営的な視点を持って、グランドデザインを描き実行する力を身につけることが、今後より一層重要になっていきます。


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