用語解説

「職場」を定義する
ワークプレイスラーニングを効果的に推進しよう!

従業員と組織がともに成長するために、職場での学びである「ワークプレイスラーニング」を効果的に推進していく重要性が高まってきています。

本記事では、ワークプレイスラーニングを考える上で「職場」をどのように定義すべきか、そして、その関係構造「WPLストラクチャ」ついてご紹介します。

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学びの場としての職場

職場とは、一般的には仕事を行う場所、または環境を指す言葉です。
近年、従業員と組織がともに成長するために、この職場での学びである「ワークプレイスラーニング(WPL)」を効果的に推進していくことの重要性が高まってきています。

WPLには、以下の3つの段階があります。

  • WPL1.0は、模倣中心で個人依存型の職場学習
  • WPL2.0は、組織として一律化された職場学習
  • WPL3.0は、職場ごとに最適化された職場学習

WPL3.0では、職場の特性に応じて学習のゴールを設定し、従業員の自律的な学習、上司の支援、エグゼクティブの環境構築が重要とされています。
このアプローチにより、職場が学びの場として機能し、組織全体の成長が促進されます。

 

図1 職場学習の3つの段階

ワークプレイスラーニング(WPL)の3つの段階

 

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職場の定義とは?

私たちが目指す「WPL3.0」の世界では、職場ごとの個性を大切にします。
では、改めて“職場”とは何を指すのでしょうか?

WPLを考える上で、職場を定義することは非常に重要です。
なぜならば、その職場が教育や育成のアプローチ範囲になるためです。

ワークプレイスラーニングの概念下では、職場を次のように定義します。

【職場の定義】

従業員を中心において、従業員が所属するチーム(最小単位)、もしくはそのチームに直接影響を与えうるエグゼクティブを含むチームの集合体(最大単位)のこと

すなわち、職場を“個別化”し、最適な職場学習環境を検討するために、従業員(育成対象者)を中心として、従業員が所属するチーム、もしくはそのチームに直接影響を与えうるエグゼクティブまでを含むチームの集合体を単位として定義しています。

もう少し踏み込むと、従業員(育成対象者)、ラインマネジャー(育成対象者の上司)、エグゼクティブ(育成対象者の上位上長)までの3階層をベースに考えることで、職場学習をデザインしていきます。

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職場の関係を整理した「WPLストラクチャ」

この職場を定義した関係図を「WPLストラクチャ」と呼びます。

図2 WPLストラクチャ

WPLストラクチャ

 

図2のように、対象となる職場を明確に定義することで、ワークプレイスラーニング施策などを検討する際に、誰が、誰に対して、どの施策を実施するのかを明確にすることができます。

職場内にはさまざまなステークホルダーが存在するため、育成対象者(従業員)に焦点を当てていたはずが、ラインマネジャーに関する議論になるなど、ワークプレイスラーニングの議論には混乱が生じることがあります。

ワークプレイスラーニングを計画する際には、常に対象となる人物や視点を明確にすることで、各施策や行動の責任範囲も明確にできます。

また、この職場を俯瞰的に見て支援する機能を持つ「WPLマネジャー」と「WPLデザイナー」を設定し、各職場の各レイヤーに対して、必要な施策を支援することによって、WPL3.0の状態を目指し、推進できるのです。

WPL3.0においては、職場ごとの違いに焦点を当て、それぞれの職場に適したマネジメントをするように設計を行います。

【参考】WPLマネジャーとWPLデザイナー
ワークプレイスラーニング推進において、実際にはエグゼクティブは多忙を極めていることが多いです(ビジネスゴール全般の責任を担っているため)。そこで、エグゼクティブをWPLの視点でサポートする役割として、WPLデザイナーとWPLマネジャーの設置を推奨しています。

  • WPLデザイナー:戦略とプログラムの設計に焦点を当てる。
  • WPLマネジャー:実行とモニタリングに焦点を当てる。

両者が役割分担をしながらも、協力と連携をはかることで、WPLが効果的に展開され、職場全体での学習が促進されます。

大規模な組織で階層が多い場合、必ずしもこの構造で整理できないこともありますが、ラインマネジャー層を2つに分けるなど、対象となる職場の構造を整理することが望ましいでしょう。
それにより、対象となる職場において、誰が誰に対して実施する取り組みが必要かが自然と明確になります。

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まとめ

ワークプレイスラーニング(WPL)を効果的に推進するためには、「職場」を単なる物理的な場所ではなく、育成対象者とその周囲の関係性を含めた学習の単位として再定義することが重要です。
従業員、ラインマネジャー、エグゼクティブまでの3階層を基本とし、職場ごとの特性に応じた育成施策を設計・実行していきます。

また、職場学習は、WPLマネジャーとWPLデザイナーが連携しながら推進できるようになると、職場での学びが組織全体の成長にもつながりやすくなります。

まずは、育成の観点から自組織における「職場」の構造を見つめ、誰に対して、どのような支援が必要か考えてみることからスタートしてみてはいかがでしょうか。


【参考情報】
本記事の内容は、弊社刊行書籍やホームページをご覧いただくことで、より深く学んでいただけます。

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