用語解説

【WPLキャンバスの活用】 
Step6.WPLキャンバスの完成
~注力指標と具体的ゴール~

従業員と組織がともに成長するために、職場での学びである「ワークプレイスラーニング※1」を効果的に推進していく重要性が高まっています。

本連載では、その実現に向けて職場学習を推進するための要素を整理・可視化するフレームワーク「WPLキャンバス※2」の活用方法をご紹介してきました。

これまでの記事では、「WPLグランドデザイン」を作るにあたり、フレームワーク「WPLキャンバス」の各要素の文言や指標を決めて記入してきました。本記事では、いよいよWPLキャンバスを完成させましょう。

※1 本記事では、「ワークプレイスラーニング」を基本表記としつつ、「WPLキャンバス」や「WPLグランドデザイン」など一部の用語では略称「WPL」も使用しています。

※2 「WPLキャンバス」はサンライトヒューマンTDMC(株)の登録商標です。本記事ではⓇマークを省略しています。

WPLキャンバス各指標のアセスメント実施

前回は、「WPL推進の3者(従業員、ラインマネジャー、エグゼクティブ)の行動」のうち、エグゼクティブの行動「職場学習環境づくり」の決定方法と評価指標についてご紹介しました。

そして、これまでの計5回の連載を通して、フレームワークWPLキャンバスの各要素、「WPLパーパス・人財ビジョン」「未来人財要件」「経験学習マインドセット」「部下の学習支援」「職場学習環境づくり」の指標が決定しました。

図1 WPLキャンバス(例)

WPLキャンバス

WPL3.0の4要素、「未来人財要件」「従業員の行動」「ラインマネジャーの行動」「エグゼクティブの行動」については、アセスメントシートも完成しました。さっそく、職場の現状を確認するために実際にアセスメントを行っていきましょう。

図2 未来人財要件 アセスメントシート(例)

未来人財要件 アセスメントシート

 

図3 経験学習マインドセット アセスメントシート(例)

経験学習マインドセット アセスメントシート

 

図4 部下の学習支援 アセスメントシート(例)

部下の学習支援 アセスメントシート

 

図5 職場学習環境づくり アセスメントシート(例)

職場学習環境づくり アセスメントシート

注力する指標と具体的ゴールの決定

アセスメントの結果を基に、こらからのWPL推進に向けて、4つの要素それぞれでどの項目に重点を置くかをエグゼクティブとWPLマネジャーが協議して決定します。
全ての項目の指標を同時に向上させるのではなく、優先順位をつけて取り組むことが重要です。
どの項目を取り上げ、どのレベルにまで向上させるか、そのレベルに到達する人財の割合をどの程度にするかを具体的に決定します。

職場のエグゼクティブは、WPLキャンバスに記載された数値目標を達成する責任を持ちます。職場の学習環境を整備し、ラインマネジャーが部下の学習をより効果的にサポートできるよう支援します。
また、ラインマネジャーは部下の「経験学習マインドセット」に基づく指標の達成に責任を持ちます。
そして、従業員は自らが効果的な経験学習を行える自律的な学習者になることに責任を持ちます。

このように、3者が自律的に活動することで、学習に対して肯定的なWPL環境が整い、組織が求める成果を実現できるようになります。

WPLキャンバスの完成

こうして、WPLの方向性、目標、各要素の焦点、評価指標を考慮し、対象となる職場に適したオリジナルのWPLキャンバスを完成させます。

WPLキャンバスに基づき、どのWPL施策が必要かを検討することで、職場ごとに最適化された戦略的なWPLマネジメントを実施できます。

職場ごとにWPLキャンバスを細かく描く理由は、社会には一つとして同じ職場が存在しないためです。環境や人財、その他の要素が全て異なります。他の職場と単純に比較することにはあまり意味がありません。
大切なのは、自身の職場の前後の比較です。どれだけ自分たちの取り組みに集中できるかが重要なのです。

図6 WPLキャンバス(注力する指標とプロジェクトゴールの決定)

WPLキャンバス(例)

まとめ

全6回にわたる本連載では、ワークプレイスラーニング(WPL)を組織で推進するための全体像「WPLグランドデザイン」を描く手法として、WPLキャンバスの各ステップをご紹介してきました。

WPLキャンバスは単なるフレームではなく、自組織(職場)に合った育成戦略を言語化し、関係者同士が対話し、実行へつなげるための実践ツールとなります。
だからこそ、完成させたWPLキャンバスを机上で終わらせるのではなく、初期アセスメントを通じて現状を見つめ、焦点を絞った育成施策につなげていくことが重要です。

この連載を通じて得た視点や枠組みをもとに、ぜひあなたの職場でも「未来に向けて、どのような人財を、どのような環境で育成していくか?」を描く一歩を踏み出してみてください。


 

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