コラム

非常時における対面研修のオンライン化
~大事なのは「無理をしない」こと~

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け、非常に短い期間で集合研修をオンライン化やeラーニング化する対応を求められている教育担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか? 弊社でもお客様のニーズにお応えできるよう、これまで対面で行っていたコンサルティングやワークショップをオンラインで実施するご提案をさせていただいております。お客様とともに考えながら、ビジネスの成果につながる企業内教育の場を継続してご提供できるよう、引き続きご支援させていただいております。 今回は、4月11日に開催された熊本大学大学院社会文化科学教育部教授システム学専攻の修了式イベントにて、鈴木克明先生が入学生、在校生、修了生向けにアドバイスしてくださった内容を元に、修了生として、企業教育をご支援するインストラクショナルデザイナーとして、「非常時の対面研修のオンライン化」をテーマにお伝えさせていただきます。

無理をしないことが大事

日頃、集合研修をきちんとデザインされている教育担当者の方ほど、わずかな準備期間でのオンライン化であっても、「100点の研修を作りたい!」とご無理をしてしまいがちです。
多くのオンラインコースの開発を手掛けた経験を持つアーカンソー州立大学のRebecca Barrett-Fox助教授は、「通常のオンラインコース開発」と、今回のような「非常時の対面授業のオンライン化」を分けて考えることが大切であるとアドバイスしています。通常のオンラインコースの受講者と違い、「非常時」の場合にはオンラインでの学習に対し、精神的にも環境的にも準備ができていない方を対象とする点が大きく異なるというのがその理由です。
現在、各種テレビ会議ツールの活用ノウハウや、eラーニング用動画の開発方法について情報があふれています。オンラインでの学習に慣れていない方も対象者として含まれる場合には、書籍などのアナログなコンテンツもうまくブレンドしながら、対象者に寄り添った学びを提供することが必要でしょう。

何をアウトプットさせ、どう評価するか

一般的に、動画コンテンツなどを含めたeラーニング開発は、集合型のプログラムの開発をするよりも多くの工数がかかります。今求められているのはもともと対面で行う予定だった集合研修のオンライン化ですので、より難易度が高いものといえます。
非常時に可及的速やかに対応することは大事なことです。しかし、何よりも大切なのはご担当の皆様の健康です。無理をせず、研修の効果を担保するための最低限のポイントを押さえ、できることを着実に実行していきましょう。

では、最低限のポイントとは何でしょうか? 集合研修で行ってきたこと(講義やロールプレイ、グループワークなど)をオンライン化するために、テレビ会議システムの使い方(How)などに注目してしまいがちです。しかし、重要なことは、受講者にまずどのようなアウトプットをさせるか、そして、それに対してどうフィードバックするかを決めることです。学習目標とその評価方法を決めた上で、学習方略を考えるというインストラクショナルデザインの基本を大切にするということかもしれません。

オンライン化の6つのステップ

米高等教育機関向けの情報サイトThe Chronicle of Higher Educationでは、オンライン化のステップを紹介しています。英文のサイトですが、6つのステップのエッセンスをご紹介します。

  1. 直近の提出課題の内容を確認する:課題そのものはオンラインでアクセス可能か? 受講者は必要なインストラクションや資料にアクセスできるか? 提出締め切りの変更は必要か?
  2. 進捗に対してどうフィードバックするかを検討する:達成してほしいゴールや身に着けてほしいスキルの獲得に向け、通常対面で行っている練習の機会とフィードバックをどう提供するかを検討する。
  3. その上で授業内の活動を考える:通常、対面の場で何をしているかを、より高く、より目標指向の視点で考える(「講義」「クイズ」「ディスカッション」ではなく、「学習コンテンツの提示」「理解度確認」「協働的なプロジェクトワーク」など)。これらを念頭に検討することで、オンラインでどのように目標を達成すべきか、通常の授業内活動のどの側面をオンラインで再現することに集中すべきかが見えてくる。
  4. 期末試験のような重い課題をどうするか判断する:オンラインでの試験の実施方法を検討する。
  5. 教材を確認する:テキスト、動画、課題、クイズなどの教材やコースシラバスやスケジュールがオンラインでアクセス可能か確認する。
  6. 上記全てに対応した上で、コミュニケーションに注力する:不確実性に直面する中で受講者にこのコースに何を期待してほしいか、どこで必要なリソースにアクセスできるかといった情報をメールやビデオ通話など、複数の手段を活用して、必ず双方向で伝える。

高等教育を対象としたプロセスではありますが、どのようにアウトプットさせ、それに対してどのようにフィードバックするかという視点から検討を進めることは、確実に効果が求められる企業教育においても参考になるのではないかと思います。

ピンチをチャンスに 一緒に頑張りましょう!

今回のBID通信は、私ども自身が鈴木先生にいただいたアドバイスから勇気と元気をいただきましたので、このサイトをご覧いただいている皆様にもお伝えしたいと思いご紹介させていただきました。

現在は、企業教育を支える皆様にとってとても大変な状況ですが、新たな取り組みにチャレンジしやすい機会とも捉えることができます。私どもは熊本大学大学院教授システム学専攻で、完全オンラインで修士を取得する深い学びを「学習者」として、また「講師」としても体験していたため、今回のオンライン化をスムーズに受け止められたという側面もあるように感じています。

上記でご紹介したような米国の教育機関では、オンライン化にあたり先生方に対して、配信方法などは学内のシステム部門に、授業の設計に関しては学内のインストラクショナルデザイナーに相談するようにと指示を出しています。次号も、インストラクショナルデザイナーの視点で皆様のお役に立つ情報をお伝えしていきたいと思います。効果を出すために本当に大事な点にフォーカスし、メリハリをつけて頑張ってまいりましょう!

  • 鈴木先生のアドバイスはこちらの動画でもご覧いただけます。

「無理はしないで同じ形を目指さないこと:平時に戻るまでの遠隔授業のデザイン」 鈴木 克明 熊本大学システム学研究センター長・教授(日本教育工学会会長)

 


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