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イベントレポート
新人の育成には、現場を巻き込み生きた知識を学ぶ機会をつくることが重要ですが、その「巻き込み」は簡単なことではありません。中外製薬株式会社 営業⼈財マネジメント部教育研修グループの石渡純子様、村田英行様は、BID講座を受講し、「BIDエキスパート」認定者として、そのフレームを活用しながら全国7支店のトレーナーを巻き込んで、新人MR向け研修を成功させました。今回は、その新人MR向け研修についてお話を聞きました。
| アジェンダ |
|
|---|---|
| ご発表者 | 中外製薬株式会社 営業人財マネジメント部 教育研修グループ グループマネジャー 石渡 純子様 / 村田 英行様 |
| 解説 | 熊本大学大学院 教授システム学専攻 教授 鈴木克明 サンライトヒューマンTDMC株式会社 代表取締役社長 森田晃子 |
中外製薬様は「すべての革新は患者さんのために」という事業哲学のもと、革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献することを目指しています。
組織改編により、本社の営業人財マネジメント部と支店のトレーナーとで新人研修を行うことになり、その第一歩として、石渡様、村田様が、グランドデザインを描きました。入口は、学生から社会人になりたてである入社時とし、パフォーマンスゴールとトレーニングゴールを設定しました。トレーニングゴールの達成に向けて、
の3つの研修を行ってきましたが、③導入研修(製品)に支店トレーナーを巻き込むことで、新人研修と現場での学びの間にあったギャップをシームレスにつなぎました。

ロードマップは、全体設計(A)→疾患別分科会(D)→予演会(D)→研修実施(I)→報告会(E)→総合リフレクション(E)とADDIEモデルに沿って描きました。
疾患ごとに支店横断でチーム編成された支店トレーナーが、この全体設計から疾患ごとに分解されたパフォーマンスゴールとトレーニングゴールを達成するための研修デザインと実施を担いました。

疾患チームのリーダーを務めてくださった関西統括支店の伊藤裕加様は、現場側の最初のお気持ちと取組の成果を以下のように語ってくださいました。
Q.最初に支店のトレーナーに研修実施を依頼された際の率直な気持ちを教えてください。
A.いつからどのような準備をし、どう実施していったらいいのかと戸惑いました。初めてのリーダー経験だったこともあり、最初は手探り状態でした。実際に実施してみると、「こうしたほうがよくなるのでは?」と前向きな提案をしてくれるメンバーが多くやりやすかったです。みなさんを巻き込んで物事を進めていく方法を学べましたし、やり遂げることで達成感を得られました。
Q.今回の研修実施は会社にとってどういったメリットがありましたか。
新人が支店配属になった時に、学術担当者(トレーナー)と面識があることは安心感につながります。また、「実施している施策」や「各製品のポイント」など“現場感”を掴んでおくことで、MR活動にスムーズに移行できるメリットがあります。研修で習ったことと現場での学びに齟齬があれば、混乱や不信感が生じます。研修と現場に軸を通すことができ、よかったです。
伊藤様のチームではIDシートを用いて、細かいパフォーマンスゴールとトレーニングゴールを設定されていました。パフォーマンスゴールを、上司や先輩社員に評価してもらうという現場を巻き込んだ視点が入ったことで、研修と現場の連動感が出てきました。
また、トレーナーの思いとして、この研修により、その疾患について「学ぶことを好きになってもらうこと」を目標されていましたが、終了時のアンケートで受講生全員が研修を通じてこの疾患について学ぶことを好きになったと回答しました。配属後も学び続ける姿勢は欠かせないので、学ぶことを好きになってもらいたいというトレーナーの思いがきちんと届いたようです。
この取り組みにおける成果について、担当された村田様は以下のように語っています。
本社と支店トレーナーの連携により、オンライン新人研修を効果的に実施することができました。また、各支店と本社、各支店同士が共通言語をもってコミュニケーションをとるようになっています。支店トレーナーが主体で研修を開発・実施してくれたことで、配属後のロールプレイング、アセスメント、フィードバックなどの、シームレスに職場学習とのつながりを作ることもできました。
村田様の上長である石渡様は、本取り組みを、以下のように振り返っていました。
全体を通して、支店のMRだけでなく全国に配属されるMRを育成するのだというトレーナーの視座の変化が起こりました。また、支店でのコンテンツや研修を共有する横断的な取り組みが活発になっています。さらに、支店トレーナーに充実感をもって取り組んでもらえたこともよかったと実感しています。
研修をブラッシュアップするために、石渡様、村田様から熊本大学 教授システム学専攻教授 鈴木克明先生へ以下の質問がありました。
配属後の受講生の活動量に差が出るという意味では、そもそもトレーニングゴールが達成できていないということなのではないでしょうか。知識の理解を前提としたスキル目標をトレーニングゴールとされていますが、顧客に説明するという現場の状況に近いスキルのトレーニングゴールを主眼にトレーニングを設計した方がよいでしょう。
全体としては、インプットの時間が長すぎるように思います。知識を試すにしても、まずテストをして、間違えたところを自分で勉強し、再テストするという流れが基本です。講師が話すのであれば、ビデオに録画して、繰り返し見られるようにすればOKです。より効率的に時間を使い、現場のパフォーマンスに近い研修を目指しましょう。そういう意味で、まだまだ伸び代があると感じました。頑張ってください。
支店のトレーナーを巻き込み、現場の学びを研修に持ってこられた点が素晴らしいです。企業内教育において、現場の巻き込みには時間とパワーがかかります。「現場感覚のある支店トレーナーがいていいよね」と思うのではなく、自分の組織で「新人研修に現場の生きた学びを持ってこられるようにするにはどうしたらいいか」をHow can I do it?の発想で考えてみることがとても大切です。
例えば、夏物語第1弾でご発表いただいた飲食業を営む物語コーポレーション様では、新人研修は「店長になるための最初の1週間」という位置付けでした。研修では、現場のエリアマネージャーを巻き込んで、トレーナーの役割を担ってもらい、新人が現場に配属された時は、そのエリアマネージャーがOJTをするという組み立てでした。
研修に現場の生きた学びを持ってくる方法は多様にありますが、グランドデザインをどう描き、自社にマッチする方法をどのように選ぶかが難しいポイントです。今回の事例では、中外製薬様の状況に合わせたグランドデザインが描かれ、個別の研修と紐づけされていました。
※弊社では全体設計についてのアドバイス、各疾患チームのIDシートへのADDIEの観点でのフィードバック、予演会、報告会のデザインと実施、総合リフレクション等、ADDIEの各プロセスをご支援させていただきました。
ヤンセンファーマ株式会社様事例 こちら
2020秋物語全体のイベントレポート こちら
過去の物語シリーズ一覧 こちら
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