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コラム
サンライトヒューマンTDMC代表の森田 晃子です。
前回は、アメリカの経営学者カークパトリックが考えた、研修の投資効果までを評価する「4段階評価モデル」について説明しました。今回は、研修における「ワークプレイスラーニング」について見ていきます。
eラーニングや集合研修だけでは、トレーニングゴールに到達できたとしても、その先のパフォーマンスゴールにまで到達することは困難です。
ミクロデザインの設計には、パフォーマンスゴールに到達できるまでのロードマップと仕組みを盛り込んでおく必要があります。その際に、知っておいていただきたい考え方がワークプレイスラーニング(以下、WPL)です。
WPLとは、「個人や組織のパフォーマンスを改善する目的で実施される学習その他の介入の統合的な方法」のことで、ひとことでいえば「学びの全体像」です(下記図表を参照)。
[図表]ワークプレイスラーニング(学びの全体像)
企業人の学びの多くは、業務を通じた経験や社内外の人たちとの関わり合いから生じます。「学びの全体像」を100%とするならば、「職場での学び」が90%以上を占めるため、「研修での学び」は10%程度にすぎないといわれているのです。
もちろん研修は学びのきっかけを作る部分としては大事な場です。ただ、どれだけ研修に力を入れても、その後の職場でのフォローや実践に結びつけるサポートがなければ効果の最大化がはかれないということです。
学びの効果を最大化するためには、「研修での学び」と「職場での学び」をうまく連携させなければなりません。この連携が、対象者をトレーニングゴールからストレッチさせパフォーマンスゴールに導くことになるのです。
「職場での学び」には、
の3つが含まれます。
研修では、自社にとって本当に必要な、例えば、対象者に共通する課題を取り上げ解決に導くことができる内容が厳選されていること。
そして、職場では、例えば、
これらが揃って自律的な学びを促す状態といえます。
日本でも欧米でも「研修での学び」と「職場での学び」の間が分断されていることが多いようです。会社の中で、教育部門の意向と営業現場の意向がずれることはよく耳にします。
どこでも「責任範囲が重なり合うことの難しさ」が存在します。教育部門と営業部門が対話をしながら、「自ら学び、自ら考え、自ら行動する人材」を育成し、組織としての成長に向かって進めていきたいものです。
IDer(インストラクショナルデザイナー)やトレーナーは、魅力的な研修を目指すだけではなく、参加者のその後の実践にしっかりと活かせるような設計を心がけてください。参加者が学んだことを現場に持ち帰って、どう活かして、どう会社に貢献していくか、というところまでデザインすることが大切です。
企業は、業績を向上させ、社会に貢献することが存在意義なのですから、研修の参加者が少なくともパフォーマンスゴールに到達するところまでは見届けてほしいと思います。
◀◀魔法の人材教育【連載 第15回】研修の効果を評価する「4段階評価モデル」とは?
魔法の人材教育【連載 第17回】集合研修の効果をアップする「反転学習」とは?▶▶
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