コラム

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「インストラクショナルデザイン(ID)」とは?
【連載 第15回】研修の効果を評価する「4段階評価モデル」とは?

サンライトヒューマンTDMC代表の森田 晃子です。
前回までは、研修計画書の作り方を具体的に説明しました。今回は、研修の投資効果まで評価できる、アメリカの経営学者、カークパトリックの「4段階評価モデル」について見ていきます。

森田 晃子(2019)『改訂版 魔法の人材教育』幻冬舎

評価手法を決めなければ「ゴール」は判断できない

出口に該当する「ゴール」を記載する際に、「ゴール」と合わせて、その「評価手法」と「評価のタイミング」もデザインしておくことがポイントになります。

大切な部分なので、詳しくお話をしましょう。「評価手法」を決めておかないと、対象者が、何ができるようになればゴールに到達したと判断すべきかがわからず、ゴールを見失ってしまいます。ミクロデザインの作成時に評価のデザインができていないということは、ゴールテープのないマラソンをしているようなものです。

4段階評価モデルで重要なのは、レベル2「学習到達度」

アメリカの経営学者であるドナルド・カークパトリックは、研修の投資効果までの評価の必要性を説いた4段階評価モデルを提唱しています(以下図表を参照)。

[図表]カークパトリックの4段階評価モデル

レベル1は、「学習の方略」が効果的だったかどうかを対象者の「反応」つまり「満足度」で測定します。評価手法は「アンケート」で、評価のタイミングは「研修直後」です。

レベル2は、「トレーニングゴール」に到達したかを対象者の「学習」つまり「学習到達度」で測定します。評価手法は「試験」や「実演」「レポート」などで、評価のタイミングは「研修直後」や「研修数日後」などです。※ 連載第7回で述べた「ラーニングゴール」はカークパトリックでいうレベル2に含まれます。

レベル3は、「パフォーマンスゴール」に到達したかを対象者の「行動」つまり「行動変容」で測定します。評価手法は「同行調査」などで、評価のタイミングは「研修数カ月後」などになります。

研修を受ける前にできなかったことが、研修を受け、職場で訓練をし現場で実践を積むことでできるようになれば、行動変容したといえます。

この行動変容を測定するために、連載第8回で説明した、期待されているパフォーマンスをリスト化した「行動チェックリスト」を作成しておく必要があります。例えば、行動チェックリストのうち3項目しかできていなかった対象者が10項目できるようになれば、行動に変化が起き、研修の成果が出たと評価できます。

レベル4は、「ビジネスゴール」に到達したかを「結果」つまり「業績向上度合い」で測定します。評価手法は「売り上げ」などで、評価のタイミングはさまざまです。

どのレベルの評価も重要ですが、本連載で重要視しているのは、「レベル2」と「レベル3」です。人材教育は職場では解決できない課題を研修というアプローチでできるように支援することですから、研修の前後で行動がどう変容したか、つまり、職場で求められる行動ができるようになったかを評価する必要があるのです。

研修のゴール(レベル2)を達成した上で、レベル3があるので、研修直後にはしっかりと評価しておく必要があるということです。

 


◀◀魔法の人材教育【連載 第14回】優秀な人材を育てるための「研修計画書」の作り方③

魔法の人材教育【連載 第16回】研修の総仕上げ「ワークプレイスラーニング」の概要▶▶


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