タグで探す
注目キーワード
人財育成・研修設計に関するお役立ちコラム
「部下たちが私の知らないところで何を話しているのか不安だ」
「結局、井戸端会議で終わるのではないか」
「私の指導と違うことを教え合っていたらどうするのか」
ピアラーニングを導入しようとすると、必ずと言っていいほど現場マネジャーからこのような拒絶反応が返ってきます。
これは彼らの怠慢ではなく、むしろ責任感の裏返しであるコントロール欲求から来る正当な不安です。
しかし、すべてを把握しコントロールしようとする旧来のマネジメントは、もはやVUCA時代のスピード感には追いつけません。
これからのリーダーシップは、すべてを抱え込むことから、学びの場を耕し、自律的な成長を信じて委ねることへとシフトしなければならないのです。
最終回では、上司が抱くリアルな不安に寄り添いつつ、ピアラーニングを成功に導く伴走者としての立ち位置と、組織に根付かせるための具体的なロードマップを提示します。
目次
現場マネージャーが抱く不安の正体 ピアラーニングで「1on1」の質が高まる 管理から環境提供へシフトする 上司の正しい役割 ピアラーニングを定着させる3つの実装ステップ 終わりに:ワークプレイスラーニングが描く新しい景色ピアラーニングを組織に導入する際、人事部が最も配慮すべきは現場マネジャーの心理的抵抗です。
その背景にはさまざまリアルな不安が存在します。
これを無視して強行すれば、現場での形骸化や、最悪の場合は取り組みへのサボタージュを招きかねません。
「上司=答えを知っている人」というモデルで生きてきたマネジャーにとって、部下が同僚から学びを得る姿は、自分の存在意義を否定されるように映ることがあります。ここには、上司の役割の定義の更新が必要です。
これからの上司は、「正解を教える人」ではなく、「最高の学習環境を整える人」へと進化していくのだというメッセージを、粘り強く伝えていく必要があります。
生産性のない不平不満の場になるのではないかという懸念は、放置すれば現実となります。
構造化されていないピアラーニングは、往々にして単なる愚痴の言い合いに終始してしまうからです。
これを防ぐのは厳格な管理ではなく、対話が実りあるものになるための場のデザイン(構造化)という知的な支援です。
ピア同士の結びつきが強まりすぎることで生じる派閥化や、情報のブラックボックス化といった懸念にも向き合わなければなりません。
これらのリスクを乗り越える鍵は、ピアラーニングを単独のイベントとして孤立させず、組織の公式な学習サイクルの中に正しく位置づけることにあります。
ピアラーニングは、決して上司を排除する仕組みではありません。仲間(ヨコ)の間で日常的な課題や感情を整理させておくことで、上司(タテ)との1on1をより付加価値の高い、本質的な対話に集中するための、情報の前処理プロセスとして機能します。
上司は1on1の冒頭で、「最近、ピアラーニングでどんな気づきがあった?」と問いかけるだけで良くなります。
部下が仲間との対話ですでに事実や感情を整理できているため、上司は、何が起きたかの確認をスキップし、いきなりその学びをどう未来の成果に繋げるかという本質的なコーチングから入ることが可能になります。
【ピアラーニングで「1on1」の質が高まる】

※AIで生成したイメージ画像です
ピアラーニングにおける上司の役割は、部下の対話に細かく介入する「管理(マイクロマネジメント)」ではなく、学びの時間を守り、自律的な成長を側面支援する「環境提供者(プラットフォーム・プロバイダー)」としての立ち位置にあります。
【管理から県境提供へシフトする上司の正しい役割】

※AIで生成したイメージ画像です
組織としてピアラーニングを定着させるために不可欠な3つのステップを紹介します。
ピアラーニングは評価とは無関係であり、現場の知恵を共有するための聖域であると、経営層自らが宣言します。また、マネジャーの不安を払拭するため、彼ら自身がヨコの学びの価値を体感するマネジャー向けワークショップを先行実施することが成功の秘訣です。
自由放任にせず、思考を整理するためのシンプルなフレームワークを提供します。
まずは特定の部署や、入社年次などの共通点が多いグループから試験的に導入します。そこで生まれた現場の生きた知恵を社内ポータル等で公開し、ヨコの学びにはこれほどの価値があるのかという実感を全社的なムーブメントへと広げていきます。
ピアラーニングの導入は、単なるスキルトレーニングの導入ではありません。
それは、上司と部下が支配・被支配という古い関係性を卒業し、共に学び、共に創り続けるパートナーへと進化するための重要な儀式でもあります。
タテの信頼とヨコの共鳴が掛け合わされた組織では、予測不能な変化はもはや脅威ではなく、新しい知恵を生むための絶好の機会へと姿を変えます。
人材開発部門の皆様、そして現場マネジャーの皆様。管理の手を少しだけ緩め、現場に眠る知恵の連鎖を信じることから、新しい組織の形を創り始めてみませんか。
「研修は改善されたが、現場の行動変容や成果に繋がらない」「社員の自律的な学びや、上司の育成支援が進まない」。 そんな人材育成の壁に直面していませんか? 本講座は、不確実なビジネス環境下において、「職場そのものを学びの場に変える」ための新たなアプローチ、「WPL(ワークプレイスラーニング)」を習得するプログラムです。
企業内の人の成長に関することであれば、どのようなことでもお気軽にご相談ください。
早川 勝夫/ Hayakawa Katsuo
ラーニングプロセスコンサルタント
薬剤師、教授システム学修士、認定アクションラーニングコーチ、コンプライアンスオフィサー
外資系製薬会社で、営業を経験したのち、営業戦略や新製品発売プロジェクト、営業生産性の向上プロジェクト、営業の人財開発等にマネジメントの立場で従事してきました。
HPIに基づいた複数の仕組みづくりや、自律的に学ぶ人財が育つ仕組みづくりを通して、個人と組織のパフォーマンスの最大化を進めてきました。
これらの経験から、多くの方々にBIDやWPLの有用性を知っていただきたく、皆さまが実践的にご活用できるよう、ご支援していければと考えております。
◀◀【第2回】ビアラーニングがもたらす副次効果~学ぶプロセスが次世代リーダーを育むメカニズム~
関連記事
人財育成・研修設計に関するお役立ちコラム
人財育成・研修設計に関するお役立ちコラム
人財育成・研修設計に関するお役立ちコラム
人財育成・研修設計に関するお役立ちコラム
詳細検索
注目キーワード
人的資本経営を加速させる
製造業職場学習(WPL)実態調査が示す
「質の向上」と「意識的な実践」の重要性
—製造業における「学びのエンジン」を再起動させるために—
「成果につながる研修の作り方」をYouTubeで無料公開
【インストラクショナルデザイン入門】
WPLデザイナー®認定講座
ワークプレイスラーニングとは?
職場での学びを最大化するヒントを紹介
インストラクショナルデザインとは?
求められる背景や代表的理論を解説!
おすすめの記事