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人財育成・研修設計に関するお役立ちコラム
多くの企業が多額の予算を投じてリーダーシップ研修を実施していますが、「現場での行動が変わらない」という悩みをよく耳にします。
リーダーシップとは、知識として学ぶものではなく、他者との関わりの中で磨かれる「実践知」だからです。
ピアラーニングは、参加者に教えられる側という受動的な立場を超えた役割を求めます。
実は、そこで交わされる対話のプロセスそのものが、現代のリーダーに求められる共感力や問いを立てる力を養う最高の道場となります。
本記事では、ピアラーニングが次世代リーダー育成の特効薬となる理由を解き明かします。
目次
答えのない時代を生き抜く「傾聴力」と「質問力」が養われる 「心理的安全性」を自ら設計・構築する経験が得られる 教えるプロセスで「メタ認知能力」と「視座」が高まる 【事例】IT企業が取り組んだピアラーニングの成果 まとめ:学びのプロセスそのものが能力向上となるピアラーニングは、単に自分の経験を話す場ではなく、仲間の課題を深掘りするプロセスを通じて、現代のリーダーに不可欠な「アクティブ・リスニング(積極的傾聴)」と「コーチング的な質問力」を実践的に鍛える場となります。
従来の先輩が後輩に教えるモデルでは、正解を持っている人が偉いという文化が育ちます。
しかし、正解のないVUCAの時代において、リーダーに求められるのはティーチングではありません。
ピアラーニングを通じて「なぜあの時、そう感じたのですか?」「もし別の選択をしていたら、どうなっていたと思いますか?」といった問いを繰り返し発する経験は、相手が自ら答えを見出すプロセスを支援する、リーダーに必須のコーチング的コミュニケーションを自然と身につけさせます。
相手の言葉の表面だけでなく、その裏にある意図や感情を汲み取る傾聴力は、多様な価値観を持つメンバーを束ねるリーダーにとっての生命線です。
ピアラーニングという評価を脱ぎ捨てた対等な場での対話は、自分の意見を押し通すのではなく、他者の視点を深く取り入れるための最高の訓練となります。
エイミー・エドモンドソンが提唱した心理的安全(Psychological Safety)は、チームのパフォーマンスに直結する要素として広く知られています。
ピアラーニングの本質は、チームの心理的安全性を、知識として学ぶのではなく、自らの手で試行錯誤しながら創り出すリアルな経験を得られる点にあります。
ピアラーニングを自発的に運営するプロセスの中で、参加者は無数の壁に突き当たります。
これらを自分たちで試行錯誤し、解決していく経験は、将来マネジャーになった際にチームビルディングを行うための生きた練習台となります。
リーダーが自らの弱みや失敗をさらけ出す(自己開示)ことで、周囲の信頼を得るオーセンティック・リーダーシップの萌芽が、ピアラーニングの安全な場で見られます。自分も失敗して良いのだという文化を自ら作り出す勇気は、研修の講義を聴くだけでは絶対に得られない、手触り感のある経験から生まれます。
【心理的安全性」を自ら設計・構築する経験が得られる】
※AIで生成したイメージ画像です
教育心理学の研究において、他者に教えたり支援したりする役割を担うことで、実は教える側の学習効果が最大化されるプロテジェ効果(Protege Effect)という現象が実証されています。
ピアラーニングの場では、この効果がリーダーとしての視座を養う強力なエンジンとなります。
仲間の話を聞き、それに対してフィードバックを行うプロセスは、単なる感想戦ではありません。他者の断片的な経験からエッセンスを抽出し、誰にでも活用できる教訓として言語化する作業は、脳内での高度な情報の再構成を必要とします。
この他者の経験を一般化する訓練を繰り返すことで、自分自身の経験をも一歩引いた場所から客観視する「メタ認知能力」が飛躍的に高まります。自らの行動を客観的に修正できるこの能力こそ、複雑な状況下で判断を下すリーダーに最も求められる資質なのです。
ピアラーニングでは、参加者が持ち回りでファシリテーターを務めます。ここでは、上司のような役職パワー(指示命令系統)は一切通用しません。
相手の自発的な内省を促し、対話を通じて場を動かしていく経験は、権限に頼らずに人を動かすファシリテーティブ・リーダーシップのトレーニングとなります。
管理職という肩書きを手にする前から、対等な関係の中で学びと行動を促進する経験を積むことは、まさに次世代マネジメントの予行演習そのものと言えるでしょう。
急成長中のIT企業(M社)では、リーダー不足を解消するため、マネジャー昇進前のメンバーにピアラーニングを導入しました。
各回一人がクライアント(相談者)、一人がコーチ(質問者)、一人がオブザーバー(観察・FB)となり、実際の仕事の悩みをテーマにコーチングを行います。
当初はアドバイスに終始していたメンバーも、次第に相手の気づきを最大化する問いの重要性に目覚めていきました。
このプログラムを受けたメンバーが実際にマネジャーに昇進した際、驚くべき変化が見られました。
彼らは部下に対して指示を出す前に、問いを立てる習慣がついており、部下の自律性を引き出すことに長けていたのです。
さらに、オブザーバー経験を通じてチームのダイナミクスを客観的に見る目を養っていたため、チーム内の不和や兆候にいち早く気づき、適切に対処する能力も備わっていました。
【指示型から伴走型リーダーへ】
※AIで生成したイメージ画像です
ピアラーニングは、単なる知識の習得だけでなく、そのプロセスを通じて人間性や対人スキルを磨き上げる場です。
これらはすべて、次世代リーダーに必須の要件です。人事担当者は、これを単なる学習法ではなく、戦略的なリーダー輩出システムとして位置づけるべきです。
次回はいよいよ最終回。マネジャーが抱くコントロールを失う不安にどう寄り添い、組織に定着させるのか、具体的な関わり方を提示します。
「研修は改善されたが、現場の行動変容や成果に繋がらない」「社員の自律的な学びや、上司の育成支援が進まない」。 そんな人材育成の壁に直面していませんか? 本講座は、不確実なビジネス環境下において、「職場そのものを学びの場に変える」ための新たなアプローチ、「WPL(ワークプレイスラーニング)」を習得するプログラムです。
企業内の人の成長に関することであれば、どのようなことでもお気軽にご相談ください。
早川 勝夫/ Hayakawa Katsuo
ラーニングプロセスコンサルタント
薬剤師、教授システム学修士、認定アクションラーニングコーチ、コンプライアンスオフィサー
外資系製薬会社で、営業を経験したのち、営業戦略や新製品発売プロジェクト、営業生産性の向上プロジェクト、営業の人財開発等にマネジメントの立場で従事してきました。
HPIに基づいた複数の仕組みづくりや、自律的に学ぶ人財が育つ仕組みづくりを通して、個人と組織のパフォーマンスの最大化を進めてきました。
これらの経験から、多くの方々にBIDやWPLの有用性を知っていただきたく、皆さまが実践的にご活用できるよう、ご支援していければと考えております。
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