コラム

コンピテンシーって何だろう?

人財育成の世界では、「コンピテンシー」は当たり前のように使われる言葉となっています。皆さんも一度は使われたことがあるかもしれません。しかし、その一方で、コンピテンシーをうまく活用することが難しいと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、コンピテンシーについて、定義を振り返り、その上で有効に活用する方法について考えます。

コンピテンシーの定義

人財育成に関わる皆さんはコンピテンシーという言葉をご存じかと思います。しかし、コンピテンシーをうまく活用することが難しいと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

まず、コンピテンシーの定義を復習してみましょう。

コンピテンシー(Competency)とは、
業務において成果を出すために必要な行動特性(成果創出を支える根源的な能力)です。

業務において成果を上げ続けているハイパフォーマーの行動特性と捉えていただくとしっくりくるかもしれません。行動特性ですから、コンピテンシーは「やればできるだろう」ではなく、「あのとき***のように動いていた」と実際の行動を見て判断していきます。

また、コンピテンシーを策定していくと、主に

  • スキル(Skills:行動に至るまでのプロセスにおける技能や技術)
  • 知 識(Knowledge:認知・判断や行動をする際に活用できる知識)
  • 姿 勢(Attitude:認知・判断や行動をする際の姿勢)

の3つのカテゴリーに整理されることが多いです。

コンピテンシーは評価のため? それとも育成や能力開発のため?

出口と入口私たちが人財育成に関するご相談をお受けする中で、コンピテンシーが話題に挙がるのは、インストラクショナルデザイン(ID)でいう出口を明確にするときです。具体的には、「理想の姿とは?」「ゴールはどこにする?」といった文脈でコンピテンシーの話が出てきます。

人事考課をする際に、行動評価や能力評価として、策定したコンピテンシーを基準にすること自体は手段として間違ってはいないと思います。

しかし、コンピテンシーが本当に有効活用されるのは、人事考課的評価ではなく、あくまでもハイパフォーマーの行動様式をゴールとし、そこを目指して能力開発や人財育成をする場面です。

コンピテンシーは、人事評価のためではなく教育・育成のための指標なのです。このことは、人財育成に関わる皆さんはもちろんのこと、社員全員がその認識をもっておく必要があるのではないでしょうか。

ID的に言えば、育成の対象者のゴールは行動できるようになることです。コンピテンシーで目指すべき行動を示し、教育・育成者はコンピテンシーに沿って対象者を育成することで、対象者は、行動を変容させ、成長していくことができるのです。

コンピテンシーを使った教育の事例

株式会社スターフライヤーさまは、国土交通省航空局からの通達により、パイロットの育成にコンピテンシーをベースとした訓練・審査プログラムを導入されました。

コンピテンシーに沿って、訓練・審査をするようになり、パイロット訓練生と教官・評価者が訓練・審査での行動を具体的に振り返ることができるようになったそうです。

Before

教官
  「あの場面ではこうしなきゃいかんだろ!」
訓練生 「(そんなことしてる人、他に誰もいないよ……)」


After

教官 
   「あの場で、あの行動は行動指標通りだったよね! 」
訓練生   「あれは自分でもよかったなと。ありがとうございます!」
教官    「ただ、あの場面では、自分の懸念事項を相手に伝えた方がいいよね」
訓練生   「そうなんですね。 余計なことをいわない方がいいと思っていました!」

(弊社が2018年夏に開催したイベント、BIDによる教え方改革2018・夏物語にてご発表いただいた内容を抜粋しています。)

このように、コンピテンシーを用いて教育・育成を行うことで、行動を変容させるための具体的な指導ができるようになるのです。

懸念事項を相手に伝えた

コンピテンシー策定の難しさ

では、コンピテンシーはどのように策定すればよいのでしょうか?
ハイパフォーマーの行動を羅列すればよいのでしょうか?

答えはノーです。

ただの行動の羅列では頭に定着せず、活用されません。カテゴリーが整理されていたり、行動に迷った時にとっさに正しい判断ができるような表現になっていたりしないと、活用に至りません。

例えば、パイロットのコンピテンシーは、スキル・知識・姿勢があわせて10項目あり、それぞれ6~12の行動指標に整理されています。

教育・育成する人の指導指針、教育・育成される人の行動指針となる、整理されたわかりやすいコンピテンシーを作ることが、成果を出す上での重要なポイントなのです。

また、コンピテンシーは、会社で1つ作成すればよいというわけではありません。業務が異なれば行動特性も異なるので、部門や業務別に作成する必要があります。

コンピテンシーを策定したいと思ったら

コンピテンシーを策定するにあたって、明確な基準が存在している訳ではありません。会社や職務によってこだわるポイントも違いますし、その会社になじむ表現方法もあります。

ある程度、抽象度を高くしながらも具体的な行動をイメージできる表現で構成される必要があります。また、作成段階でコンピテンシーの活用方法を具体的にイメージしてコンピテンシーの活用方法全体を俯瞰する必要もあります。

それらのことを検討しながら一つひとつの文章表現を紡ぎだしていくことで、本当に活用されるコンピテンシーになっていくのです。

弊社は、前述したパイロットのCBTAプログラム(Competency-Based Training and Assessment プ ログラム)のガイド作成に代表されるように様々な企業様のコンピテンシー作成にご協力をさせていただいております。

真に活用されるコンピテンシー策定や、その運用についてのご相談は、ぜひ、弊社にご相談ください。

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