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研修内容をデザインする時、何を重視するか?
ギャップを埋め、ゴールを達成できるデザインとはどのようなものか?
ハヤカワの実体験 “自己調整学習者*を育てるデザイン” を通して解説します。
※自己調整学習者:自分で自分の学びをデザインできる人。自らの学習プロセスを計画・実行・評価・改善しながら主体的に学びます。私たちが生涯にわたって学び成長し続けるために不可欠な力です。
参考ページ|SLH learning seminar :自己調整学習~自律的に学ぶ社員の育成~
目次
出入口のギャップ、意図的に埋めようとしていますか? ギャップを埋めるデザイン事例 「自己調整学習マインドセットを育てる」 目指すゴールと相手に合った方略デザインを! 今こそ取り組みたい “自己調整学習者を育てる” という課題前回までに、新人MRの現状分析と分析結果を踏まえたゴールの刷新について話してきました。
今回は、トレーニングゴールを達成するための方略デザインについて考えていきましょう。
研修のゴールを見直し、新人MRに目指してほしい姿を具体化したことで、新人MRの現状と目指すゴールの間に非常に大きなギャップがあることに気づきました。
次はどのようにギャップを埋め、ゴールを達成していくかを考えなくてはなりません。
ギャップを埋めるとは、すなわち問題解決手法そのものです。
例えば営業では、今期目標が決まれば、現状を分析し、目標達成までのギャップを確認します。その上でギャップを埋める戦略を考え、具体的な戦術に落とし込みます。
「新人MRのギャップを埋める方法も同じだ!」と、私は考えました。当時、インストラクショナルデザインの手法はまだ一般的ではありませんでした。その考え方には、後日出会うことになります。
問題解決手法自体は誰もが知っているのに、教育や研修となると、なぜか感覚で考えられがちです。研修においても、ギャップは意図的に埋めに行かない限り、当然埋まりません。
新人MRのギャップは、「知識」「スキル」「態度」、学習目標のすべての領域にわたっていました。
ここからは、新人MRがパフォーマンスゴールやビジネスゴールを目指す上で特に重要な、「態度」領域のトレーニングゴール達成に向けてどうギャップを埋めたかを紹介していきます。
前回決めた、「態度」領域の最終的なトレーニングゴールはこちらでした。
☛ 「自己調整学習者としての行動を常に発揮する」
自己調整学習者として行動するには、次の態度を身につける必要があります。
当時の調査では、配属時に自己調整学習者としての態度を身につけ、行動できる新人MRは数%という結果でした。この大きなギャップを埋めるため、最終的なトレーニングゴールを3つのミニゴールに分解し、段階的に方略(ゴールを設定するための方法)をデザインしていったのです。
【ミニゴール1】「動機づけ」 ができる
方略❶ ハイパフォーマーMR(自己調整学習者)について調べ、自分に必要な行動を考える
方略❷ 自分の動機を分析し、コントロール方法を探して練習する
【ミニゴール2】「目標設定」と「方略選択」ができる
方略❸ ハイパフォーマーMRに同行して、行動を観察する
方略❹ 新人同士で情報交換後、自分の目標と行動(方略)を設定する
方略❺ ハイパフォーマーMRに同席してもらい、目標や方略をブラッシュアップする
【ミニゴール3】「自己モニタリング」と「自己評価」ができる
方略❻ 毎日、その日の経験を振り返り、学んだことの活用方法を決める
方略❼ 考えたことや活用した結果を新人同士で共有し、ブラッシュアップする
今回は、ゴールそのものの難しさ(“自己調整学習“ はとても難しい!)と、現状とゴールのギャップの大きさという2つの高いハードルがありました。
社会人経験を持たない新人MRに、このハードルをどう越えてもらうか!?
段階的な方略デザインの他にもいくつかのポイントがありました。
方略を組み立てるとき、以下の2つを特に重視しました。
自分で調整しながら成長するMRを育てるため、自分で目標をつくり、経験・観察や情報から学んで行動につなげるという、実際に現場で求められる行動を研修を通じて実践できるように組み立てました。
よく起こるのが、自分で学ぶ人財を育てたいのに、研修は自分で学ぶ内容になっていないということです。
みなさんの研修デザインはどうでしょうか。目指すゴールと矛盾しない学習プロセスをデザインしましょう。
環境が変化したときには学びを得やすいことが検証されています。
「与えられる学習が当然」という学生時代までの態度を変えるため、入社という絶好のチャンスをとらえ、徹底的に実践し続けるプログラムを組み立てました。
また、これまでは自己調整学習を支える 「経験学習」 を実践してきていないメンバーが大半と考えられたので、他者の力も取り入れ、必要なサポートを得ながら経験学習のサイクルを回し、身につけていける環境を整えました。
目指すゴールと現状を踏まえた上で、そこに到達するための方略をデザインできているか?一度立ち止まって、ポイント❶❷の視点で見直してみてはいかがでしょうか。

自己調整学習ができる人財の育成は、今も変わらず重要な課題であり続けています。
日本の学校教育は、学習者側からすると与えられる学習環境です。これは、良い部分もありますが、自己調整学習者を育成するプログラムとしては不具合もあるのだろうと思われます。
ビジネスの世界では、自己調整学習を通じて成果を出せる人財が求められており、その傾向は、この当時よりも強くなっているのではないでしょうか。
学校教育はさておき、企業で行われている様々な人財開発プログラムや研修が、自己調整学習者育成に合致しているのか、あらためて見直す必要がありそうです。
元教育部長ハヤカワ
早川 勝夫
外資系製薬会社にて営業を経験後、営業戦略、新製品発売、営業生産性向上、人財開発といった分野でマネジメントに従事。特に、「何のための研修か目的が分からない」という現場の違和感を原点に、自力で研修から教育システム全体を試行錯誤し、改革を推進。HPI に基づく仕組みづくりを通じて、個人と組織のパフォーマンス最大化を実現した。この現場での実践と熊本大学教授システム学での体系的な学習の経験に基づき、「課題解決は、自律的に学ぶ人財を育む仕組みとプロセス設計から始まる」という確信を持つ。
ビジネスプロセス改善やWPLの理論を、自身の現場での成功と失敗に裏打ちされた知見として提供。皆様の組織が継続的に成果を出し、人が輝き続ける仕組みづくりを「実践的に」ご支援します。
◀◀【元教育部長ハヤカワの本音】研修ゴールの見直し、必要な視点は入っていますか?
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2025/11/26
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